猫ミー・メガネ・エンハンサー
12月12日。月曜日。日中はポカポカと暖かかった一日。だけど今週は火曜日から天気が崩れて寒くなるとのこと。しかしながらまだまだ焦るような寒さでもないので、余裕ぶっこいてます。冬って本当、大好き。
昨日の日曜日は猫ミーグリ(日向坂46東村芽依さんのオンラインミート&グリートの意)がありました。その前日の土曜日からほぼ徹夜でパソコンにむかい20時間くらい論文を書き続けていて、仮眠でもとろうものなら絶対に寝過ごしてしまうだろうと思い、そのままコンディション最悪のゴミ状態でこなしました。えらい。
そして、今日は午前中に講義のお仕事が1本。案の定、ペース配分が馬鹿なので前半に喋りすぎ後半は疲れ果てていました。講義のお仕事のとき、特に冬場になるとマスクをしながら喋るとメガネが曇って講義にならんので、コンタクトをつけています。本当、メガネが曇るの、なんとかならんのか。メガネが生まれて何百年たってんだ(調べてみたら13世紀に開発されたとのこと。すげぇな)。レンズの曇り止めコーティングもありますが、曇りが消えやすくなるだけで曇らなくなるわけではないですし、曇り止めのスプレィやクリーナはいちいち手間ですし、なんとかならんのか。個人的に傘と同じぐらいの不完全技術だと思っています。いやいやもっとやれんだろマジで…
最近読んだ本の話。今週はノンフィクションを2冊。田村宏治『進化の謎をとく発生学』とR・H・エプスタイン『ホルモン全史』を読みました。どちらもかなーり面白かった。
『進化の〜』は、岩波ジュニア新書から出た本で「エンハンサー」について解説した本です。エンハンサーというのは、DNAのある遺伝子が転写され翻訳されるとき、そのスイッチとなる(遺伝子の発現を調節する)領域のことです。「エンハンサー」自体は生物学や遺伝学をかじったことのある人なら聞いたことのあるシステムだと思うのですが、それを全く知らない読者(しかもジュニア新書レーベルなので子ども向けなのでしょう)に説明するのは、なかなか大変な作業だったかと想像します。でも、それを懇切丁寧に決して誤魔化さず、そして読者が興味をひくような対象(この本で言えば、みんな大好き恐竜)をテーマに置いていて、著者の真摯さとサービス精神を感じる良い本でした。たまーにある科学者の書いた独りよがり新書本とは大違い(誰の本とは言いませんが…)
『ホルモン全史』は、様々なホルモンの発見に至った経緯や裏エピソードが豊富に盛り込まれた本。これもめちゃくちゃ面白かった。ホルモンといえば、生物の授業なんかでは暗記するものと思われがちなのですが、どういう経緯で、どんな実験や観察から発見に至ったか、そして発見当時に「ホルモン」というものを社会はどう捉えていたか、が紹介されています。特に興味深かったのは成長ホルモンの話。成長ホルモンが発見されたばかりの時代では、人工的に成長ホルモンを合成することができなかったので人間の遺体から脳下垂体(成長ホルモンは下垂体前葉から分泌されるホルモンのため)をかき集めて天然の成長ホルモンを抽出し、小人症(成長ホルモンの分泌不全で正常に成長できない病気)の患者さんに投与していたとのこと(現代の倫理観からは想像もできない時代だ…)。その後、人工的に成長ホルモンを合成する企業が現れたのですが、「人工のものよりも人間由来の天然の成長ホルモンの方が危険性が少ないはずだ」ということで、引き続き天然の成長ホルモンが治療に使われました。しかしさらにその後、遺体由来の天然の成長ホルモンを投与された人の中からヤコブ病を患う人が出てきて……と、凄まじいエピソードのオンパレードで、一気に読み終えてしまいました。きっとこういうエピソードも込みで勉強していたら生物学ももっと楽しく学べたんだろうなぁ…と一瞬思いましたが、よく考えたら高校時代に生物履修していませんでしたわ。化学物理でした。なんで?
そんな月曜日でした。