後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

ポロック進化論

 11月8日。火曜日。朝晩は寒いので薄手のコートを羽織っていくものの、昼間になるとポカポカと暖かくなるので「なんじゃこれ暑いしいらんわ」となっているここ最近です。いよいよ着るもん不安定季節の襲来です。でも相変わらず日中は暖かいしな。立冬って嘘だろ。

 午前中に講義のお仕事を1本。今年はカリキュラムが色々と変更されて後期は1コマだけになっているのでだいぶ楽です。

 そして研究室に戻って、分析の作業をすすめます。作業自体は単純なのですが、いかんせんサンプル数が全部で300ほどあり、かつ一つ一つの工程がやたら時間がかかる(3日ほど)ので、トータルで見ると時間がかかって仕方有りません。この作業がおそらく年末まで続くことでしょう。また、¥その間に来週の講義資料を作成したり、スライドを作ったりと、そんなスケジュールでした。だいたいスライド作ってんな。

 最近読んだ本の話。ここ2週間くらい諸々の予定が詰まっていてなかなか読書に当てる時間がなく、激烈にペースダウンしています。そのくせ書店に寄るとつい新しい本を買ってきてしまうので、積読は増える一方です。学習しねぇなぁ…

 瀬名秀明ポロック生命体』は単行本で数年前に出ていたのですが、最近文庫化したので買いました。瀬名秀明氏といえば、『パラサイト・イヴ』があまりにも有名すぎるのですが(もちろん面白いです)、私は『BRAIN VALLER』が一番好きです。というか、過去に読んだSF作品の中でもトップレベルに面白いと思っているのですがその割に世間の評価的にはイマイチで「なんでやねん!」と憤慨しています。おそらく私がSF作品を読むようになって初期に手を出した作品というのもあるのでしょう。だいたい、ミステリーにしろSFにしろ、最初に読んだ作品が「人生で一番の」のカテゴリに入るものです。さて瀬名氏の初期の方の作品は『パラサイト・イヴ』にしろ『BRAIN VALLER』にしろ(あと『デカルトの密室』も)、骨太なSF作品が多いです。その後は感動物語路線にシフトチェンジし、比較的マイルドなものが多くなっています。私はそれがちょっと合わなくて離れてしまっていました(良い悪いじゃなくて合う合わないの問題です)。なので、『ポロック生命体』は久しぶりの瀬名作品でした。短編集で、帯にもあった、ヒト×人工知能×小説の交差点をテーマにおいた作品集でした。特に、表題作『ポロック生命体』で問うていた「AIが学習し生成した絵画や小説に著作権はあるのか?」というテーマは、まさに最近ホットなAIイラストの問題点と重なっています。

 吉川浩満『理不尽な進化』はダーウィンの進化論についての本。私が想像していた内容とはちょっと違ってたのですが、進化論はなぜ人々を魅了するのか、どこが誤解されているのか、科学者同士の論争は、などなど進化論を取り巻いている科学史を整理した名著。2014年に刊行された本の文庫版で、ようやく読めました。