後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

2023年面白かった本

 もうすでに年も明けていますが、2023年発売で読んで面白かった本についてを振り返ります。記憶力が悪いのと、年が終わろうが明けようが生活も気持ちも変わらないのでその年を振り返ることはあまりないのですが、なんとなく年末になるとその年の面白かった本だけは選んでいます(最大5冊ぐらいで選んでいます)。今年は夏頃がやたら時間がなくて読む量がガクンと減ってしまっていたのが寂しいところですが(特にフィクション作品)、その分ノンフィクション類は例年に比べて読んだなぁ、という印象の2023年でございました。

 

・小説枠

 パラニューク『インヴェンション・オブ・サウンドは発売が今年の1月ぐらいだったと思いますが、相変わらず「破滅でしか救われない物語」を書くのが強すぎる著者だなぁと思いました(といっても5冊くらいしか読んだことなかったけども)。グレッグ・ベアが2022年に亡くなって、その追悼記念?としてハードカバーでリニューアルで発売された『鏖戦/凍月』ですが、私はこのタイミングで初めて読みました(すでに昔に文庫本で発売されていたようです)。そもそもグレッグ・ベアは『ブラッド・ミュージック』しか読んだことがなかったですが、こちらも良かったです。特に『鏖戦』の方。人類の成れの果てと意味わからん星人とがバチバチにやり合う話です(ただし難解で一回読んだだけじゃわからんかった)。ただし、『凍月』の方は私はあんまりハマらんかったです。ウェルベックも好きな作家の一人で、政治をテーマにしたものかと思ったら究極的にはピュアな家族小説だった『滅ぼす』もめちゃくちゃ面白かったです。国内作品だと短編作品集の倉田タカシ『あなたは月面に倒れている』がピカイチに良かった(特に『トーキョーを食べて育った』)のと、あと滑り込んできた12月発売の酉島伝法『奏で手のヌフレツン』が相変わらずの酉島節の世界観で、好みでした。これはファンタジィ作品になるのかな。そういう2023年でございました。

 

・ノンフィクション枠

 様々な作品(小説や映画)の中で奴隷・家畜というものがどのように扱われてきたのか、どのような存在だったかを解説した赤坂憲雄『奴隷と家畜』が面白かったです。また、人間によって見えている世界・生きている世界ってのは実は違っているよねってのがテーマのデニス・プロフィット/ドレイク・ベアー『なぜ世界は違って見えるのか 主観と知覚の科学』もかなり興味深く読みました。この本を読んでから、アフォーダンスとかそういった類のものを解説した本を読み漁りました。もう少しライトなものだと、タイトル通り創造論者と無神論者がバチバチにやりあってきた歴史を解説した岡本亮輔創造論者 vs 無神論者』は面白かったです。知っていた知見以上にドーキンス先生が大暴れでした。ただし、本のテーマも内容も面白かったのですが、それぞれの章タイトルに森博嗣などの作品タイトルをもじっているのはちょっとサムかったなぁと思いました(個人的な印象です。内容とは無関係)。アイドルについての本(グラビアとかではなく)も何冊か読みましたが、その中でも、卒業したアイドルのインタビューをまとめた大貫真之介『私がグループアイドルだった時』は特に良かったです。講談社ブルーバックスも今年は10冊くらい読みましたが、その中でも12月に発売の『古代日本の超技術』が面白かったです。内容はタイトル通りで、あのみんながよく知っている建造物は実はすげぇ技術使ってんだぜってのを解説した本です。姉妹本の『古代世界の超技術』も時間を見つけて早く読みたいところです。

 

・鳥枠(恐竜含む)

 仕事柄、「鳥類」に関する本はつい手にとってしまうので、新たに枠を設けました(誰に向けて?)。川端裕人ドードー鳥と孤独鳥』は小説の体をとっているのですが、図録も豊富で面白く読みました。というかこれはもはや歴史書じゃないか。ドードー鳥が日本にも来てたんじゃないかってのを主人公が探っていく話です。この作品もそうですが、今年の鳥本は生物学・動物学的な解説をしたものよりも、人類と鳥類がどう関わってきたかをまとめた本をよく読みました。細川博昭『鳥を読む』、ティム・バークヘッド『人類を熱狂させた鳥たち』もその流れです。ドーキンスドーキンスが語る飛翔全史』は、鳥だけに限らず、空を飛ぶもの全般について易しく解説していて読みやすかったです。大暴れだったドーキンス先生とは思わない内容。イラストも豊富で絵本のように読めるのですが、価格だけは優しくなかったです(税別4800円)。恐竜に関する本も何冊か読みましたが、中でもG. Masukawa『Dinopedia(ディノペディア)』は見開き1テーマのまさに百科事典のようなスタイルで、イラストも豊富で良かったです。ただし内容は骨太で、普通に講義資料を作る時の参考に使いました(めちゃくちゃ助かった)。

 

・猫枠

 オチに使った感じになってしまったのですが、猫こと東村芽依ちゃんのグラビア写真やインタビュー記事の掲載されているものは今年もおそらくすべて買いました。中でも、BOM 2023年4月号は三期生の山口陽世ちゃんとのペア(ユニット名「ちっちゃいふたり」)のものは貴重ですし、写真がキュートで素晴らしかったです(もっと二人での活動増えてくれ頼む)。そしてアイドルのロングインタビューでおなじみのIDOL&READにも#35で表紙を飾っていて、ありがたかったです(あとインタビューだけでなく、グラビア写真の衣装が好きすぎた)。今年はこの2冊を選びました。

 

 そんな2023年発売の本についてでございました。