後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

サリマカシー(日向坂46『Happy Train Tour2023』追加公演1日目に参加してきた話)

 12月9日にKアリーナ横浜で開催された日向坂46『Happy Train Tour 2023』の追加公演1日目に参加してきました。Kアリーナ横浜は今年9月末に完成したばかりの音楽専用アリーナで、何やら退場時の動線問題などで色々と取り立たされてはいるものの、音楽アリーナとしてはやっぱり良かったです。正直いって私は違いがわかるほどの耳を持っているわけでもないのですが、それでも低音の重みがズドンと来る感じとか、他の箱とはちょっと違うな!という感覚はありました。そして、そんな出来たばかりのKアリーナ公演であるとともに、この追加公演1日目は日向坂46の一期生潮紗理菜さんの卒業セレモニーも開催されました。これがもうね、後からちゃんと書きますが、本当に素敵でした。さりなちゃん、本当に綺麗だったなぁ……

 そんな追加公演1日目の感想文です。要所要所で記憶に残っているところをかいつまんでになりますが。

 さて、Overture後の本公演1曲目は『君は0から1になれ』。福岡公演2日目のWアンコールで初披露された曲で、11月に発売された2ndアルバム『脈打つ感情』のリード曲です。これが、このKアリーナの凄さを体感するのにもってこいな曲でした。まさに低音が体全体にドンと降りてくるような、そして体を内側から振動させるような高揚感が気持ち良かったです。そこにファンのコールとパフォーマンスが乗っかって、あと振り向いたときのキャプテン(佐々木久美さん)がめちゃくちゃカッコよかった。最高に映えてました。

 そして、他のアリーナでは縦型に楕円の形をしている場合が多いのですが、Kアリーナでは横向きの箱となっているのもわかりやすい特徴でもあります。そのため、他の会場ではメインステージと中央に後方までまっすぐ伸びた花道というステージだったのですが、Kアリーナ横浜ではメインステージ中央から花道が伸びて、そしてさらにその先で左右に花道が開いている、といったステージとなっていました。ちょうどカタカナの「エ」のような感じです(伝わるのかこれ?)。このステージ構造の威力をくらったのが『川は流れる』でした。『川は流れる』は私の中でベスト5に入るくらい好きな曲で、ライブではメンバーが花道を行進しながらパフォーマンスするのが特徴です。この「エ」の構造の花道を行進するメンバーが、まるで一つの生命体のように見えたのですね。行進の緩急の付け方が蠕動運動のようで(これについてはもうすこしちゃんと考察したいところ)。そして、これは他のどこかでも書いたかもしれませんが、『川は流れる』はけっこう冷淡な歌詞なんですよね。結局、水は流れるところに流れていくし、人生は死ぬまで続くのです。たとえメンバーが卒業しようと辞めようと、グループは歩みを止めることはできず、また卒業した(辞める決断をした)人の人生も続いていくわけで、そういったことを絡めて(タイミングがタイミングなので)当てられてしまいました。いや、めちゃくちゃよかったな。うん。そんな人生の儚さとどうにもならなさを美しく表現した『川は流れる』のあと、MCを挟んで『君しか勝たん』『ドレミソラシド』という残酷なセットリスト。残酷というのも、『君しか勝たん』も『ドレミソラシド』も恋愛の曲なのですが、それはそのままアイドルを好きになったきっかけに当てはめられるわけです(坂道グループ、特に日向坂はそういう曲が本当に多い)。始まりの「好き!」があるからこそ、卒業がこんなに悲しいし、辞めてしまうことがこんなにしんどいのです。MCで先日活動辞退を発表したきしほちゃん(岸帆夏さん)のことを触れていたこともあって、また潮紗理菜さんの卒業セレモニーがこのあとに控えているということもあって、「うっ」ときました。明るい曲調で笑顔で披露するメンバーの表情がより一層心臓にきましたね。それはその数曲後の『恋は逃げ足が早い』にも当てはまってしまって、カメラに抜かれるさりなちゃんの笑顔が本当に苦しかったです。それが、アイドルを好きになってアイドルから生きるエネルギーをもらっているファンに課せられた業なのかもしれませんが……

 ここで、四期生についてを。前回のツアーの福岡公演から今回の追加公演の間に四期生は『新参者』という四期生だけによるライブ公演がありました。全10公演、期間としては1ヶ月弱ぐらいでしょうか。私は残念ながらタイミングが悪く(あと不運な激おこ出来事があって)そちらを見ることはできなかったのですが、そんなタフなライブを乗り越えてきたこともあってか、パフォーマンスレベルがものすごく上がっているように感じました(あくまで感覚的なものなのですが)。のびのびとしていたし、また表情もすごく良くなったと思いました。特に個人的に光って見えたのが渡辺莉奈さん。前公演ではもっと堅かったような気がしましたが、本公演ではシーラカンスのような朗らかな表情から『期待していない自分』の抑圧に耐え忍ぶ表情まで、表現力が格段に上がっているように感じました。四期生による『期待していない自分』はセンターが公演ごとに違うのですが、この追加公演1日目は正源司陽子さん。このパフォーマンスが凄まじかった。主人公感というか、カリスマ感というか。目の力ひとつで会場の空気をもっていく力強さを感じました。あと、その後のMCできしほちゃんについて言及する際、号泣してしまったとことを平岡海月さんがフォローしているシーンもめちゃくちゃよかったです。さすがだったというか。

 順番が前後しますが、ツアーではシングルのカップリング曲が披露されていたのが、ここではクリスマス衣装に身を包んだメンバーが『ひらがなで恋したい』『ホントの時間』が披露されました。まーじで『がな恋』めちゃくちゃ良かったし、クソほど楽しかった。あとクリスマス衣装がめちゃくちゃ良かった。一生これでやってくれ(願望)。あまりにも良すぎて(ベリーキュートで)、考えるよりも先に「超絶可愛い!!!!め"い"め"い"!!!!」と声が出ていました。可愛さって思考のスピードを凌駕するもんなんだなぁ。また直前の『こんなに好きになっちゃっていいの?』で、めいちゃん(東村芽依さん)とみくちゃん(金村美玖さん)がいっしょにベンチに座るシーンでヒソヒソ話をしていたのも私は見逃しませんでした。

 ラストスパートはツアーと同じく『キツネ』『One choice』『My fans』と怒涛のセットリストが続きます。『My fans』はツアーの中でもどんどん変化し続けている曲で、大阪公演以外では1~3期生(みーぱんセンター)vs4期生(はるはるセンター)の構図がワクワクしたものですが、本公演では最初からメインステージに1~4期生が揃って披露されました。大所帯My fansは迫力があって、またみーぱん&はるはるのWセンターも最高にキマっていました。さらに会場のボルテージは上昇し続け、『誰よりも高く跳べ!2020』(イントロフリーダンスはさりなちゃんのハチー!から始まりました。かわいい)、そして期別ダンストラックがボスラッシュ感あって最高にカッコいい『NO WAR in the future 2020』でピークを迎えました。そして最後は、上村ひなのちゃんセンターの『Am I ready?』で締め括られます。『Am I ready?』はツアーで何度も聴きましたが、やっぱり好きなんですよね。2023年に出された曲の中でもトップレベルで好きなのですが、なんでこんなに好きなのか考えたのかというと、その理由のひとつに「推しメン(私でいういところの東村芽依さん)のキャラソン感がある」ってのがあるかもしれません(語弊のある言い方かもしれませんが)。そんなこともほんのりと考えました。可愛いキャラクター好きのかわいいめいちゃんで、曲と本人のキャラクターがマッチしているんだから、そりゃ曲自体も好きになりますわな。そういえば、『Am I ready?』は他の会場では気球に上村ひなのさんが乗って会場を漂うという演出なのですが、やっぱりKアリーナでも気球に乗っていました(さすがにKアリーナでは飛ばさんやろと思っていた)。

 

 そして、アンコール後からは潮紗理菜さんの卒業セレモニーへ。最初にメンバーからさりなちゃんへの「ありがとう」をまとめた映像が流れるのですが、もうこの映像だけで潮紗理菜という人間がグループの中でどういう存在だったかを知るのに十分すぎるほどでした。いや、こんなん流されたらだめやって。私はもうこの時点でメソメソしてました。隣向いたら隣の席のおじさんもメソメソしてた。そりゃな。

 そして、映像終わりとともにステージに登場したドレス姿のさりなちゃん、とても綺麗だったな。以前、何かの番組(『あちこちオードリー』だったかな?)で、「アイドルは卒業を発表するとそこからからどんどん綺麗になる」といったことを誰かが話していましたが、本当にその通りでした。さりなちゃんの最後のアイドルの姿はとてもとても綺麗で、これが命を燃やして人生をかけてアイドルという職業を走り切った人の姿なんだな、と思いました。

 潮さんのスピーチは感謝の言葉から始まるのですが、それはメンバーだけでなく、サリマカシーラジオのチーム紗理菜の方々、ステージを作ってくれたスタッフ、ダンスの先生や、家族、友人、そしてファンと、出会ったすべての人へ向けた感謝の言葉でした。潮さんが大切にされていてよく口にする言葉で「出会いは一瞬、出会えば一生」「人は必要としているときに必要な人と出会う」という言葉がありますが、本当に「縁」というものを大切にしてきた人なんだなと思いました。そういう人だからこそ、良い人が集まってくるのでしょう。

  スピーチのあと、一期生がさりなちゃんのところに集まってきます。この時点でイッキサンは泣くのを我慢できないでいた人ばかりだったのですが、そこからさりなちゃんの本当に最後のステージになります。1曲目、りまちゃんちっく(潮紗理菜さん、加藤史帆さん、齊藤京子さん、佐々木久美さん、高本彩花さんのユニット)による『沈黙した恋人よ』は、もう耐えきれなかったのか、全員が号泣して歌えないぐらいになっていました。普段は客前で涙を流すことがあまりない齊藤京子さんが、大粒の涙を流していました。そういえば「りまちゃんちっく」というユニット名もインドネシア語由来で、さりなちゃんが付けたものだったもんね。計り知れないぐらいたくさんのものを残していってくれたんだなぁ。

 客席の至る所で啜り泣く声の聞こえた『沈黙した恋人よ』から、潮紗理菜さんセンターの『真夜中の懺悔大会』へ。打って変わってアップテンポで楽しい曲なのですが、この曲が披露されていた『Happy Smile Tour 2022』ではライブでの声出しはまだ解禁されておらず、さらに潮さんもツアーを休養されていたため、最初で最後の声出し懺悔大会になっちゃったな。めちゃくちゃ楽しかったし、コールもできて良かったです。そして、今回の新アルバム『脈打つ感情』に収録されている一期生曲『最初の白夜』。もうね、やばかった(さっきからそればっかり言ってるな)。ステージ中央に階段のセットがあり、そこを潮さんが登っていき、そしてその階段の途中では一期生が残った状態で披露されたのですが「ほんまにさりなちゃん行ってしまうんや……」となりました。さっきまで全力で「エーオッオッオ!エーオ!!!!」ってコールしてたのなんだったんだ……(懺悔のコール)。『最初の白夜』については以前にも書きましたが、とにかく美しい。潮紗理菜さんの餞の曲としてこれ以上ないってくらい素晴らしい曲ですし、潮さんが同期や後輩にしてあげたように、じんわりとした温かさで背中を押してくれる、いや背中に手をあててくれるような曲です。綺麗で素敵なステージでした。

 3曲を終えて、一期生以外のメンバーもステージに登場します。「なっちょやり残したことない?」から急遽さりなちゃんの大好きな曲ということでアカペラで歌われることになった『一生一度の夏』も良かったですし、『HEY!OHISAMA!』おわりで花道からステージに戻るときにさりなちゃんのドレスのスカートを四期生(渡辺莉奈さんとあと誰かだった気がする)が持っていっしょに走っていく姿が微笑したかったです。そして『JOYFUL LOVE』の途中、サプライズで一人一人からさりなちゃんがお花を渡されます(記憶が曖昧なので本当にこの時だったか定かではありません)。卒業セレモニーではお約束の光景ではあるのですが、でもやっぱり良かったです。正直ここを書き出すともう8(ハチー!)万字くらいになってしまうでしょうから自重しますが、4期生山下さんが怪我でひな誕祭を休むことになった際に、潮さんからかけられた言葉への感謝が印象的でした。3期生もめちゃくちゃ号泣しているのにいざ潮さんを前にすると泣いてないように振る舞おうとする山口さんが素敵でしたし(あと、潮さんから三期生への「足りないとしたらあとは自信だけ」という言葉も良かった)、潮さんから二期生への言葉も印象的でした。「二期生は雰囲気から勘違いされることもあるけど、でも私はみんなが素敵だってこと知っているから。わかってもらえなくたってそのままでいいから」みたいなの、なんかめちゃくちゃ刺さったんだよなぁ……(あとみんながメソメソしている中、ギャルみたいに笑顔で送り出そうとするひよたん最高でした)。一期生はもう涙腺が限界をとっくに超えているようでした。まなふぃ(高瀬愛奈さん)が涙を流しているのも珍しかったですし、あまりに豪快に泣きすぎてそれがちょっと面白にいっちゃって「みんなに笑われてるよ!」と潮さんにフォローされるキャプテンもなんかめちゃくちゃ良かったです。そんな中、目を潤ませていたものの意外と泣くのを耐えていたのが東村芽依ちゃん。さりなちゃんに言葉を伝える時もお花を渡すときもずっと潮さんの手を握っていて、卒園式で先生とお別れするときの幼稚園児みたいになってた。でも私もさりな先生とお別れするとなるとそうなると思う。

 そして『JOYFUL LOVE』が終わり、潮さんは階段をのぼってステージから去っていきます。ツイッタで見かけて、いいなと思った表現なのですが、本当に潮紗理菜さんは『JOYFUL LOVE』のような人だったな。いつだって誰かに寄り添って、その人が欲しい言葉をかけてあげられる人で。そして、最後の最後まで、言葉を大切にして、言葉を尽くして、人に言葉を伝えるということの可能性を信じて生きてきた人でした。それは簡単にできることじゃないし、今の時代と相性は悪いかもしれないけれど、でもやっぱりそれは正しくて美しいことなのです。潮さんが卒業した後の未来も、正しくて美しい世界であったらいいな、と心から思いました。

 そんな卒業セレモニーでした。

配布されていたサプライズ用フライヤー

 

【セットリスト】12月9日@Kアリーナ横浜(1日目)

01. 君は0から1になれ

02. 月と星が踊るMidnight

03. 川は流れる

04. 君しか勝たん

05. ドレミソラシド

06. この夏をジャムにしよう

07. シーラカンス

08. 恋は逃げ足が早い

09. ガラス窓が汚れてる

10. こんなに好きになっちゃっていいの?

11. ひらがなで恋したい

12. ホントの時間

13. 見たことない魔物

14. 期待していない自分

15. キツネ

16. One choice 

17. My fans

18. 誰よりも高く跳べ!2020

19. NO WAR in the future 2020

20. Am I ready?

潮紗理菜卒業セレモニー

21. 沈黙した恋人よ

22. 真夜中の懺悔大会

23. 最初の白夜

24. 一生一度の夏(アカペラ)

25. HEY! OHISAMA!

26. JOYFUL LOVE