後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

ハロウィン・分子・敵

 10月30日。日曜日。「ハロウィンって10月30日か31日かどっちやったっけ…?最終週の日曜日か…?」と30秒だけ考え、結局「どっちでもええか…」という結論に至りました。仮装仮装っ言ってますけど、みんな他者と接するときは真の自分を隠して仮装しているんだから毎日ハロウィンみたいなもんです(毎年5万人くらいが言ってそう)。あとハロウィン、「収穫祭」の部分があまりにも無視されすぎてやいないか…?と毎年思っています。

 日曜日でしたが、午後から研究室へ。人口密度が小さいので休みの日は便利です。あと早朝なー。メインでやっている研究とは別件の、とある動物のとある成分をとある部位から抽出・分析する研究(伏せワードばっかり)を進めます。こちらは12月の頭に報告会があるので、それに合わせて進めています。

 

 最近読んだ本の話。藤井敏博『分子をはかる』と鈴木健なめらかな社会とその敵』を読みました。ノンフィクション週間です。

 『分子をはかる』はまさかの質量分析法の新書。「こんなニッチな分野の本、一般向けに出して売上見込めるんか…」と書店に並んでいるのを見つけ、目を疑いました。思わず買ってしまったぐらいです(こういう層がターゲット?)。質量分析法というのは、本のタイトル通り分子を測る手法です。様々な分野で使われていて、環境調査では水に含有されている有害物質の測定であったり、他にも血液検査や薬物検査など、何にでも利用されています。私も、今はやっていないものの、液クロ(高速液体クロマトグラフィー)やガスクロ(ガスクロマトグラフィー)を取り扱っていたことがあります。なので、特にこの本自体に目新しい知見はなかったですが、懐かしい気持ちになりながら読みました。しかし現役で取り扱っている技術者や研究者はわざわざ読む必要なさそうですし、かといって一般向けで目をひく題材かと言われたら疑問で、本当に誰向けなんだ…

 『なめらかな社会とその敵』は、伴名練『なめらかな世界と、その敵』というSF小説があってそちらを先に読んでいたのでタイトル元ネタのこの本の存在は知っていました。それが、つい先日お買い求めやすい文庫版が出たので読むに至りました。逆輸入です(逆輸入ではない)。社会学や経済学を取り扱った専門的な本で、私自身が数学が不得意なのもあって時折「なんじゃそれ」と思うところはあったものの、なんとか読み切りました。今現在の国同士であったり消費者と企業の関係、選挙のシステムといった断絶された社会構造を、インターネットシステムを取り込んで抜本的に変革させ、なめらかな社会を目指すことはできないか、といった本です。理想論はたしかに理想論なのですが、単に理想論で終わらせない著者の説得力がありました。社会のシステムと生物の基本的な細胞構造(膜があって、DNAを格納している核がある)を結びつけて考察しているのは興味深かったです。でも、きっと向こう50年くらいでは実行されないだろうな…(著者によると、更にその先の300年後の社会を構想していますが)

 そんな週末でした。