後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

台風・読書感想文・ちゃんめい

 8月31日。水曜日。今日も曇り時々雨のじっとりとした空模様でした。あっという間に8月も終わりですが、やたら雨の多い夏だったという印象。まぁそういう年もありますわな。激ヤバ台風も近づいているそうで、私の地元は今が稲刈りシーズンなので(他の地方よりもだいぶ早い)、色々と大変そうです。私の家はもう離農しちゃっていますが…

 朝から研究室で申請書をいくつか書いたり、過去の実験結果を漁ったりしていたら日が暮れてました。今年もなーんもない8月でございました。ここ数年毎年恒例です。 

 最近読んだ本の話。今週はノンフィクション2冊でした。そうえいば、小中学生の頃は読書、というか読書感想文が死ぬほど嫌いで、毎年読んでない本をさも読んだ体を装って提出したり、前の年に書いた読書感想文をそのまま転用したり、唯一図書室にあった漫画(火の鳥とか横山三国志とか)で読書感想文を書いたりしていました。あの手この手を使って避けてきましたが、大学に入ってからはその経験が嘘のように本を読むようになったので、人生わからんもんです。今はだいたい月10冊くらい読んでいますし(雑誌類を含めたらもっと多い)。

 

 古舘恒介『エネルギーをめぐる旅』は、そのタイトル通り「エネルギー」についての本。人間の歴史とエネルギーの関係(産業革命や火力発電が人間の社会をどう変えたか)から、カルノーサイクルの発明は何がすごかったのか、エネルギー(というか主に火)が人間の精神世界にどのように影響を与えてきたか(すなわちどう宗教として関わっているか)などなど、幅広いテーマを取り扱っていて面白かったです。

 その中でも「へぇ〜」と思った雑学を一つ。雷のことを日本語では「稲妻」と書きますが、なぜ「稲」という字が使われているか。植物が育つためには窒素・カリウム・リンが必要で、それらはひっくるめて三大栄養素と呼ばれています。その中で、窒素は空気中にたくさんあるはずなのですが、空気中の窒素は安定していて通常はそのまま土壌に固定されることはありません。ですが例外もあって、高温高圧条件下ではその窒素を分解することができます。高校の化学で出てきたハーバー・ボッシュ法はまさにその性質を利用したもので、窒素と水素を高温高圧条件下(400℃〜600℃、200~1000 atm)で反応させてアンモニアを生み出す方法です(なので、ハーバー・ボッシュ法は大発明だったとのこと)。で、空気中の窒素も同じように通常は安定しているのですが、雷が発生するとその空中放電によって窒素の三重結合が解かれ、雨にとけて地上に降り注ぎます。それによって植物は窒素を取り込むことができ、結果として植物の生育が促されます。つまり、落雷があると稲の生育が良くなることが古くから観察されていたようです。だから雷は古来より「稲妻」とか「稲光」と呼ばれてたそうです。ね?「へぇ〜」でしょう?私はてっきり、雷の落ちる様が稲穂に似ているからとかだろうなぁ、と勝手に思っていました(なんて浅はか)。

 久保(川合)南海子『「推し」の科学 プロジェクション・サイエンスとは何か』は「プロジェクション」という現象を介して「推し」という行為を分析した本。おそらくキャッチーにするために『推しの科学』というタイトルになっていますが、「プロジェクション」を理解するための本として興味深かったです(私も初めて「プロジェクション」というものを知りました)。「プロジェクション」というのは、現実のモノに現実にはないモノを想起する認知科学の分野で取り扱われているタームのようです。例えば、好きなアイドルや二次元キャラクタのモノを身に着けたりファッションを真似する行為も、知らない人からすればそれはただのグッズにすぎないのですが、本人からしたらそこに「推し」の存在を感じるわけで、これが「プロジェクション」だそうです(ざっくり言うとですが)。オタク的行為として書きましたが、別にオタクに限った話でもなく、例えば墓参りでお墓に話しかけたりする行為も、現実に対面しているのはただの石なのにそこに祖先の存在を感じたりするわけで、これも「プロジェクション」の一種だそうです。そう考えると、おそらく人間が宗教や神話を作り出したのも「プロジェクション」の効果なのでしょう。現実から、存在しえないものの存在を想起する能力も人間が発達させてきた機能の一つなのでしょうね。

 という読書週間でした。

 あと『BRODY 10月号』も買いました。9月13日に1st写真集『見つけた』を出版する日向坂46の東村芽依さん特集だったので。

 

 めいちゃ〜〜〜〜〜〜〜ん