後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

ニトリ・SF・密室

 9月4日。日曜日。昨夜は大雨が降っていたものの、昼間はよく晴れてバカみたいに暑い一日でした。ここ最近は何かとストレスフルな日々を過ごしているのですが、唯一のストレス解消方法が「別になくても困らないけどあったら少しだけ便利なものを買う」で、それを日々実行しています。今日は小さいフライパンとドア裏に磁石でくっつける傘掛けを買いました。本当、なくても一切困らない。そういう、ちょっとしたどうでも良い商品を買うのにニトリは素晴らしいです。そりゃ日曜日のニトリがクソ混むわけだ。

 

 最近読んだ本の話。ノンフィクションばかり読んでいたので、久しぶりにフィクションを2冊読みました。

 大森望編『ベストSF 2022』はここ数年毎年竹書房文庫から出てる、SF作品の短編集をまとめたシリーズ。編集者の大森望氏の選ぶ、その年の傑作だと思った短編が集められているので、最新のSF短編作品事情を知るのに一番ちょうどよいシリーズだと思っています(値段が文庫本の割にほんのり高めであることを除けば。1650円はほぼソフトカバー単行本の値段だ…)。3割ぐらいは別の雑誌や短編集でも読んだことがありましたが、どの作品も総じて面白かったです。個人的には、酉島伝法『もふとん』、伴名練『百年文通』が中でも好みだったかも(一番わかりやすかったから?)。『もふとん』はもふもふの布団のような動物が現れる話で、酉島氏の作品の中では珍しくグロヤバ生物が出てこない、可愛らしいお話(グロヤバ生物も好きですが)。『百年文通』はもともとはコミック百合姫の表紙ページに連載されていた作品です(表紙に小説の連載ということで話題にもなっていました)。タイトルで想像つくように、現代の主人公の少女と100年前の時代の少女が不思議な力で文通を交わしていくという作品。もちろん百合。相変わらず伴名氏はお姉さまモノ&大正時代モノを書かせるとピカイチだなーと思いました。これらの作品以外にも、昨年出版された『異常論文』に収録されて、こちらにも選ばれた鈴木一平+山本浩貴(いぬのせなか座)『無断と土』も再読でしたが面白かった。

 三雲岳斗『海底密室』は、「久しぶりになんか密室ミステリ読みてぇなぁー」と思って手を出した作品。密室モノは好きなのですが、人里離れた屋敷とか孤島とかだと、その設定だけでもうメタ目線が入ってしまって笑ってしまうので良くないです。『海底密室』の舞台は深海4000メートルに造られた海底実験施設。多少は現実味あるような、もはやこの設定すらもベタになりつつある気もするような、絶妙なラインです(『ever17』とか森博嗣そして二人だけになった』がちょっとだけ頭をよぎりました。後者は海底ではないけれども)。事件の肝となるトリックはヒントの出し方があからさまで分かりやすかったのですが、設定もひっくるめてワクワクしました。舞台となる海底施設が最新の実験施設というわりにシステム面がやや古臭いなーと思ったのですが、出版されたのが2000年ということを読み終わった後から知って納得しました。こういうのは、時代が進むにつれてどんどん古くなってしまうので難しいところでしょうね。「孤島の屋敷で電話線が切られる」とかも、もう通じないでしょうし。