後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

続夏フェス見られず・正典・脳

 7月23日。土曜日。今日も朝から暑い一日。平日の午前の時間に小中学生が出歩いているのを見かけ、そこでようやく「どうやら子供たちは夏休みに入ったらしいな…?」と感じるのが恒例となっているここ数年です。今日もそれぐらい夏らしい日なのに、日向坂さんのライブ(富士急コニファーフォレスト開催)にも行けず、かといって配信もタイミング的に見られずに過ごさなくちゃならんというわけです(今現在も出先)。時おり時間が空く度にツイッターや愛のあるまとめブログを眺めては「3期生のゴーフル衣装みてえなぁ」とか「齊藤さん語るなら未来をのセンター!?」とか独り言をブツブツ吐き出すだけの装置と化しています。そうこう言っているうちに、この記事を書きながらどうやら秋のアリーナツアーの発表があったとか、名古屋はスカイエキスポ(半端キャパそのくせフラット会場)であることとかを知りました。今年はなんとか調整できそうだからとりあえずチケットは申し込んでみますが果たして…

 

 最近読んだ本の話。小川哲『嘘と正典』とジェフ・ホーキンス『脳は世界をどう見ているのか』を読みました。小説1冊とノンフィクション1冊のいつものペースです。

 『嘘と正典』は3年ほど前に単行本が出てたのですが、今回文庫版となってから読みました。6本の短編をまとめた短編集です。そのうち単行本出版時に「魔術師」だけ全文公開されていて、それだけ私も読んでいました。なので初めて読むのは5本。そのうち、表題作の「嘘と正典」と「最後の不良」が好みでした。「嘘と正典」はもはやベタと言われるようにまでなってしまった歴史改変モノ(私は好きだけど)ですが、ミステリィ要素もあったり、最後はスッキリした読後感で面白かったです。

 『脳は〜』は、神経科学者でもあり起業家というそれ自体がかなり興味深い経歴を持ったジェフ・ホーキンス氏による脳科学ノンフィクション本。前半部の「脳は座標系と動きによって世界を理解している」という理論は面白かったです。しかし読み進めていくうちにだんだんとテーマが人工知能(このへんはまだいい)や、人類遺産計画、陰謀論(が広まっているメカニズム)などまで飛躍していき、「何についての本だったっけ?」と迷子になりかけました。そういうのを抜きにしたら良い本なんでしょうけれども、私はちょっと引いてしまいました。また、コメントや序文も寄せているリチャード・ドーキンス氏の影響をかなり色濃く受けている人なんだな、という印象。あと、人類が進化につれて拡張してきた大脳新皮質を「新しい脳」と呼ぶのはまだしも、人類以外の爬虫類などにも共通して持っている部分を「古い脳」と呼び続け、頑なに「脳幹」というワードを使わないのは気になったところでした。原著を読んでないから元々そうなのか、訳者のセンスなのかはわからないけども…

 そんな読書週間でございます。

 しかしライブ観たかったなぁもう!

動機・夏フェス・ミャクミャク

 7月20日。水曜日。昨日は終日土砂降りでしたが、今日はうってかわって今朝から気温が上がり一日中暑い日でした。なかなか天候が安定しませんね。これだけクソ暑いのに、朝からガリガリPCで作業をしたり(天気関係ない)、講義のお仕事があったりで(天気関係ない)、ヘトヘトです。体力の低下をひしひしと感じます。

 最近思ったこと。

 凄惨な事件が起こって犯人が捕まった時、メディア(特にワイドショー番組)はその犯人の生い立ちや生活環境などと照らし合わせながら、「なぜ犯行に至ったか」を分析しようとします。しかし、だいたいが「理解できない」という結論になるので、その議論自体が無意味だと思っています(メディア側には、視聴者の怒りを引き出して共感してもらおうという狙いがあって、それが視聴率につながると信じているのでしょうけれども)。そもそも、理解できる事の方が珍しいでしょう。人の動機なんて白黒パキッと分けられるものでもなくて、理解できない理由で他人を傷つける人もいれば、理解できる理由があっても危害を加えない人だっているわけです。それでも理解しようとするのは、理由(それが正しいか正しくないかは別として)がないと不安だからなのでしょう。自分の家の近所に何を考えているかわからない人が住んでいたら不安に思うのと同じように。だから、何かしらの理由を探すし、探す行為そのものにも視聴者は共感するのかな、などと連日の報道をみながら思いました。以前にも書いたことのある話かもしれませんが。

 あまり面白くない話を書いてしまったのですが、その他の最近あったあれこれ(箇条書きスタイルが楽だということに最近気づいた)

 

・日向坂Blu-ray


 3月30日31日に開催された東京ドーム公演『3回目のひな誕祭』のBlu-rayを買いました(7月20日本日発売)。買うしかねぇだろうが。初日の配信は見られなかったので楽しみです。

 あと、日向坂46といえば明日21日からW-KEYAKI FES. 2022が始まるのですが、そちらに関してはライブ配信すらも観ることができそうにありません。元々参加はできなさそうだったのでチケットは買わずライブ配信にかけていたのですが、どうやら配信は23日だけのようで、無理でした。明日21日なら見られたのに(日向坂46のステージは21日と23日)。全くもって弱いオタクです。いや、全日配信してくれよ頼むよ…

 

・ミャクミャク

 大阪万博の公式キャラクタの愛称が『ミャクミャク』に決定したとのニュース。さっそくSNS上ではネタにされているようですが、私が気になったのはその設定。

細胞と水がひとつになったことで生まれた、ふしぎな生き物。その正体は不明。
赤い部分は「細胞」で、分かれたり、増えたりする。
青い部分は「清い水」で、流れる様に形を変えることができる。
なりたい自分を探して、いろんな形に姿を変えているようで、人間をまねた姿が、今の姿。
但し、姿を変えすぎて、元の形を忘れてしまうことがある。
外に出て、太陽の光をあびることが元気の源。雨の日も大好きで、雨を体に取り込むことが出来る。

公式キャラクターについて – 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会

 

 という設定らしいです。「こんな設定以前からあったかしら…?」と思いつつ、読みながら色々と考えていました。赤い部分が細胞だそうですが、それが分かれたり増えるということは、幹細胞ということになりそうです。基本的に我々の細胞は一度器官や組織に分化するとその能力を失うようにできています。肝臓の細胞が骨や筋肉に変わることがないように。ですが、その分化する能力を持ち続ける細胞もあるわけで、それが幹細胞です。だから皮膚や赤血球はどんどん新しいものがつくられるわけです。なので、その細胞分化・細胞分裂の能力を持ち続けているミャクミャクの細胞部分は幹細胞であると考えられるでしょう。さらに、ミャクミャクの細胞部は赤色を呈しているので、どうも造血幹細胞なのではないか、と思いました。造血幹細胞はその名の通り、赤血球や白血球、血小板に分化する幹細胞です。そして、赤色ということは、ヘモグロビンを含む赤血球ということではないのでしょうか。そうなってくるとミャクミャクの顔?まわりはすべて赤血球となってしまい、輸血とかに便利そうだな…というところまで想像したところで「いや動物由来のナチュラルな細胞とは限らないぞ…?」と思い直しました。

 幹細胞のもっているような分化能力は、普通の細胞であれば分化・成長とともに失うわけですが、人工的に万能性を持たせたものもあるわけです。いわゆる万能細胞と呼ばれるもので、ES細胞やらiPS細胞がそうです。ES細胞は、受精卵(がちょっとだけ成長して内部に現れる内部細胞塊)の分化能力を利用して作製された万能細胞です。そしてみなさんご存じのiPS細胞は体細胞に遺伝子を導入することで万能性を持たせたものです。これらの万能細胞の可能性がでてきました。ただし、ES細胞の場合は、受精卵を使うがためにそれ自体は死んでしまう(胚になれない)ので、利用するには倫理的に厳しい規制がかかっています。そんな細胞を万博の公式キャラクターにするかというと、ちょっと疑問が残ります。そう考えると、体細胞由来のiPS細胞の方が可能性が高そうです。京都大の山中伸弥教授の発明ですし(大阪万博と関西つながりですし)。

 また、ここまでずっとミャクミャクを多細胞生物として、赤色の細胞部はその体の一部として考えてきましたが、そうじゃない可能性も考えないといけません。すなわち、細胞部は独立した単細胞であるということです。単細胞生物であれば、分裂・増殖のハードルがぐっと下がります。細菌類やアメーバなら分裂なんてお手のものですし、キャラクタ説明の「形を変えすぎて元の形を忘れてしまう」というのにも説得力がでてきます。

 ということでまとめますと、ミャクミャクの細胞部分は、

1. 造血幹細胞

2. 人工の万能細胞(おそらくiPS細胞)

3. 独立した単細胞生物

 という3つの可能性がある、というお話でした。

 果たして真相はいかに…

 

ポメラ・めいちゃん・点滅

 7月16日。土曜日。朝から雨が強く降り続いていた1日。というか今週はずっと天候がぐずぐずでしたね。なにやら梅雨前線が復活したとかどうとかのニュースも見ましたが、まぁそういうこともありますわな(ちゃんと読んでいない)。

 ここ最近あったあれこれ。

キングジム ポメラDM250の発表

www.itmedia.co.jp

 

 ポメラはこれまでにDM100, DM200と使ってきてて、それなりに好きなガジェットです。なので4年ぶりの新型発表のニュースには「おぉ!」とは思ったのですが、それにしてもやっぱり高い(6万円ちょっととのこと)。Type-Cになったり、クソ雑魚アップロード機能が改善されるのはありがたいのですが、にしても6万円はなぁ。DM200の時も、定価はたしか5万円くらいで、1年後くらいにAmazonで3万5千円くらいになってようやく買った記憶があります。爆速起動&書くことしかできねぇというコンセプトは素敵だし、搭載されている辞書もかしこいのでそこそこ使っていました。しかし、今は結局 ipadロジクールのキーボード(専用で装着できるやつ)が最適解であることを知ってしまったからなぁ… あと、ポメラは画面の故障がまぁまぁ多いことでも有名です。以前使っていたDM100もDM200も、最終的には液晶が逝ってしまっていました(物理ダメージなし)。なので、手を出すにしろ出さないにしろ、しばらくは様子見になることでしょう。

 あと、ニュースが出てから気になる度にポメラの情報を調べているのですが、その度にキングジム公式のちょいイタツイッターを見なくちゃいけないのが地味に嫌なのです。キングジム製品は好きでリピートしているものも多いですが、ツイッターだけが本当に苦手。

 

東村芽依さんの写真集

 

 

 最高としか言いようがないだろうが。

 

・最近読んだ本の話。

 今週は中沢弘基『生命誕生』、平沢逸『点滅するものの革命』を読みました。ノンフィクション1冊、小説1冊。ほどよいペースです。

 

 

 『生命誕生』はどうやって生命(というか初期のアミノ酸)が生まれたか、を地球史に沿って解説した新書。こういった地球起源論の話になると、未だににミラーの実験(フラスコの中を原始大気を見立てて水素とかアンモニアとかメタンをいれて、そこに紫外線を当てたり放電させるとアミノ酸が生まれたという実験)の話が出てくるのですが、原始の地球はそういう環境じゃなかったと、その手法はすでに否定されています(画期的な実験だったことは間違いないのですが)。この本では、じゃあどうやってアミノ酸ができたのか、またアミノ酸から初期の細胞がどうやってできるに至ったのかを著者の仮説とともに丁寧かつ理論的に解説していきます。もちろん、あくまで仮説で確かめようがない点もあるのですが、それを差し引いてもなかなか面白かったし、途中で出てくる著者が行ったイカツイ実験もワクワクしました。個人的には、生命誕生の仮説として「地球外から生命の元がやってきた」というのはSFっぽくて嫌いじゃないのですが、逃げ道のような感じもしていたので、このテーマはドンピシャでした。

 『点滅〜』は久しぶりに読んだ純文学(「純文学」っていまだにその定義がわからず使っているけど)。自分としては珍しくタイトル買いでしたが、かなーり面白かった。人間的な汚い部分もみせる『よつばと』って感じした(我ながらめちゃくちゃな紹介だ)。帯に載ってる町田康氏のコメント「なんの意味もない人間が、なんの意味もない場所に、なんの意味もなく集まって、なんの意味もない言葉を発するという、私たちが普段やっていることをそのまま描いておもしろいという稀有な作品」が本当にその通りで、物語の中で大きなドラマがあるわけでもないのだけど、でもめちゃくちゃ面白かった。ひと夏の話なのですが、文から夏の有機的な匂いが漂ってくる感じがすごかった。著者の技術なのでしょうけれども。

 

ドキュメンタリーであるということ(日向坂46ドキュメンタリー映画第2弾『希望と絶望 その涙を誰も知らない』感想文のようなもの)

 日向坂46さんのドキュメンタリー映画第2弾『希望と絶望 その涙を誰も知らない』を観ました。


www.youtube.com

 第1弾の『3年目のデビュー』は、そのタイトル通り、前身のけやき坂46ひらがなけやき)として活動が始まったものの最初はなかなか日の目をみることも少なく、その3年後に日向坂46としてデビューできて…というところを描いた作品でした。そして今回の『希望と絶望』では、その後順調に活動が忙しくなり目標であった東京ドーム公演もようやく予定されたけれども、そのタイミングでコロナ禍となりライブも休止や延期が続いてなかなか思った通りの活動ができなくなって、そのような状況の中で日向坂46のメンバーが何を思ってどう過ごしってきたか…というところを描いています。

 …と、あらすじを説明してしまうのは簡単なのですが、そのあらすじ以上に、切れ味が鋭くて、感想が難しくて、「そもそもドキュメンタリーって何なのか?」とずっと考えていました(1回観ただけではそれがわからなくてすでに2回観た)。この後もそういうことをダラダラと書いていきます。今更ですがネタバレ注意かもです。ネタバレもくそも、ドキュメンタリーだし表舞台の見えている活動がすべてではあると思うのですが、もはや本編で観た内容なのかそれ以外の媒体(インタビュー記事やラジオ)で触れていた内容なのかごっちゃになっているので。

 まず最初に『希望と絶望』という強めのタイトル。これまでの日向坂46というハッピーオーラなグループイメージとは遠いところにあって、尖っているというよりは、映画を観る人(おそらく大多数が日向坂46のファン)をかなり信頼しているタイトルのように感じました。1作目の『3年目のデビュー』では、アイドルとして活動していく中でしんどいこともあるわけだけど、タイトルに「デビュー」という一応のゴールというかグループが到達したところが含まれているので、観る側も安心して観ることができたのだと思います。わかりやすいシンデレラストーリーで、日向坂46のイメージともマッチしている部分も感じられるタイトルですし。しかし、「希望と絶望」というタイトルは、なにやら不穏さが漂っています(「絶望と希望」じゃなくて「希望と絶望」であることもあって)。まぁ実際に観てみると、そこまで構えて観ることもないことがわかりますが。ただ、その強いタイトルのせいで、ラジオなど色んな媒体でメンバーがそこをフォローすることになっているのも事実ですが…

 さて、本編。冒頭は日向坂46キャプテンの佐々木久美さんのインタビューシーンから始まるのですが、ここでいきなり映画を観ている日向坂46のファン、そしてこのドキュメンタリー作品の作り手にまでも向けて、鋭い言葉が突きつけられます。「この(コロナ禍から東京ドーム公演がようやく開催されるまでに至った)2年間のことは、『あの時は大変だったけど今はこうで良かったね』という物語として消化して欲しくない」。いやはや、やられました。もうね、このインタビューシーンだけで、脳天を揺さぶられるほど重たい先制パンチでした。

 コロナ禍のせいで予定されていた東京ドーム公演が休止となり、その間にメンバーの休業もあって、無観客ライブを経てようやく有観客ライブができるようになって久しぶりにファンとライブで対面できたこととか、休業したメンバーが戻ってきたことや念願だった東京ドーム公演がついに開催できるまでに至ったこととか、物語にしようとすればできるわけです。それもわかりやすくて誰もが共感できそうな。だけど、それを佐々木さんは拒むわけです。それは、私たちが愛し心酔し応援しているアイドルが、アイドルという存在以前に一人の人間であることを突きつけられているようでした。人間だからムカつくこともあるし人間だから泣きたくなることもあるし、人間だから上手くいかないことだってあるわけで。

 だけど、この『希望と絶望』というドキュメンタリー作品は、その拒んだ2年間を物語として綺麗にパッケージして映画として放映しているのです。ドキュメンタリーといっても、作品として世に出ている時点でやっぱりそこには作り手の意図があって狙いがあるわけです。そういう意味では、100%のドキュメンタリーって存在しないのでしょう。光り輝くステージの裏で流すアイドルの涙も、夏フェスで暑さにやられて車椅子で運ばれていくシーンも、スタッフに対する怒りの叫びも、映画を盛り上げるための装置として利用され消費されるのです。その光景を観ていると、だんだんとこれは観るべきではないのではないか…?という気にすらさせられます。サブタイトルの『その涙は誰も知らない』の涙は誰も知らないままの方がよかったのではないか?と思ってしまいました。そうやって結局物語として消費されてしまうわけで、でもそれがトップアイドルとして存在し続けるために背負わなくちゃいけないものだとしたら、それこそ我々ファンの想像を絶する世界だな、と改めて感じたのでした。

 その一方で、これまでにも書いたことなのですが、数多あるアイドルグループの中で特定のグループや個人を好きになる時、そのきっかけは歌がうまいとか可愛いとかパフォーマンスがすごいとか、表面に現れているモノなのかもしれません。でもそれは些細なきっかけに過ぎなくて、そのアイドルの生き様そのものであったり歩んでいる(歩んできた)ストーリーを知ることで、より深く愛するに至るわけです(それが「推す」ということかもしれません)。人間性、というと安っぽく聞こえてしまうかもしれませんが、その人間性にどうしようもなく惹かれるわけです。だからファンはドキュメンタリーを求めるのであって、そして需要があるからドキュメンタリー作品として世に出されているのでしょう。だからこそ、需要と供給の経済の狭間でのキャプテン佐々木久美さんの「物語として消費してほしくない」という言葉は重い。重たくて鋭い。

 めちゃくちゃ感想が難しい理由がそこにあるのです。「感動した」「めちゃくちゃ良かった」と感想を並べるのは簡単で、きっと私もその欲望に抗えないだろうしBlu-rayとか出たらファングッズとして買ってしまうことでしょう。でも、そこにはファンがアイドルに向ける愛だけでは片づけられない何かがあるような気がして「ドキュメンタリーとは何なのか?」ということをずっと考えていました(今も答えは出てないし多分出ない)。

 あと同時に「そういうこともあった程度に観てほしい」とラジオなどでメンバーがフォローしている意味もすごくわかりました。だってこんなこと考えない方が良かったですもの…

 あと、最後にちょっとだけ映画の中で思ったこと。まとめブログで映画の感想を眺めていると夏フェスのとあるシーン(炎天下の中やれるだけのことはやったのに、スタッフ陣から「がむしゃらが足りない」と言われてしまったシーン)がファンの間でほんのりと議論となっているようです。ですが、アイドルを愛するがゆえにその怒りに共感はしても、怒りはあくまで彼女たちのものであるわけで、そこに乗っかって同じように運営に対して怒りをぶつけるのは違うのではないか、と思ったのでした。彼女たちの大切な感情に、ファンだからといって押し入ってはいけないのです。

 

ーーー

 なんとなく感想文を書いているうちに変なテーマにぶち当たってしまったし全然話がまとまらなかったので、それをごまかすかのように、以下ゆるっとした『希望と絶望』おもしろポイント。

 

・明日のたりないふたりのTシャツを着ている加藤史帆さん

・YOASOBIのTシャツを着ている潮紗理菜さん

・格好が若い今野義雄さん

・久しぶりに復帰した小坂菜緒さんのジャケ写撮影で「美人さんになったねぇ〜」とおばちゃんみたいな会話を繰り広げる潮紗理菜さんと森本茉莉さん

・新3期生配属のシーン、今振り返ってみると本当に赤ちゃんみたいな山口陽世さん(かわいい)

 

 あと『希望と絶望』の素敵すぎたあるいは印象に残ったシーン(本当はこっちのことを主題に感想文を書けば良かったんだ…)

・『アザトカワイイ』でセンターに佐々木美玲さんが選ばれた時、みーぱんに駆け寄る高本彩花さん

・当時のしんどかったことを美化せずに今振り返ってもしんどいと言い切る加藤史帆さん

・ディスタンスとか関係なく復帰したての松田好花さんを抱きしめる加藤史帆さん

・『僕なんか』でセンターに選ばれた小坂菜緒さんの手を握る佐々木久美さん

・東京ドームライブ直前の髙橋未来虹さんの「みんなが菜緒さんを待っている」の言葉

・最後のインタビューシーンで、「振り返った時に笑い飛ばせたいと、いちメンバーとして思います」というキャプテン佐々木久美さん。

・映画ラストの渡邉美穂さんと佐々木久美さんの会話

 

 という感想文でございました。変なことをウダウダと書いてしまいましたが、素晴らしく素敵な映画であったことは間違いないです。あと、とにかく佐々木久美さんのキャプテンシーというか人間力が凄まじかった。

 

映画・読書・三点リーダ

 7月9日。土曜日。朝から雨が降り続いていた一日。私の住んでいる地方では明日も大雨の予報がでていて、なんだか梅雨が明けた後の方が雨が多いような気がします。まぁそういう年もありますわな…

 昨日の金曜日には最寄りの映画館(車で30分)に行き、ナイトショーで日向坂46さんのドキュメンタリ映画の第2弾『希望と絶望 その涙を誰も知らない』を観ました。しかし、安易に「面白かった」と書いてしまうのを躊躇ってしまうぐらい切れ味が鋭くあてられてしまったので、それはまた別の記事に書こうと思います。それぐらい反芻するのに時間がかかるし、感想がめちゃくちゃ難しい(と私は思いました)。いや、素晴らしく素敵な作品ではあったのですがね…観ているうちに「アイドルとは?」から始まって「『ドキュメンタリー』であるといううこと」とか、色々なことをぐるぐる考えておりました。まぁ、そんな考察厨みたいなこと考えずにシンプルに味わえばよかったのですが…(もちろん十分面白いです)

 

 さて、どうでも良い今週読んだ本の話。リチャード・ドーキンス『神のいない世界の歩き方』、チーム・パスカル『いのちの科学の最前線』を読みました。今週はノンフィクション2冊のペースです。

 

 ドーキンス『神のいない〜』は2020年に単行本で出版された『さらば、神よ』の文庫バージョン。単行本の方をそのうち読もうと思っているうちに文庫版が出てしまったのでこちらを購入しました(このパターンめちゃくちゃよくある)。改題前のタイトルに比べると少しだけマイルドになっている印象です。内容も、ドーキンスの『神は妄想である』と比べると、かなり柔らかくなっています(しかし『神は妄想である』は改めてものすごいタイトルでよくアメリカで発売できたもんだ…)。とはいっても、本の内容(特に前半部)は、無神論者のドーキンスが徹底的に神の存在を否定していくわけで、新約聖書旧約聖書も内容は嘘っぱちだとか、キリスト教徒はこんなやつを慕ってんのかとか、徹底的にこき下ろします。神の存在を(アメリカほど)普段から強く意識していない日本人の私でも、「先生、ちょっと言い過ぎちゃいますか…」と軽くひいてしまうぐらいドーキンス先生の論破が止まりません。かと思えば後半部ではしっかりとした生物進化や発生の話で、その緩急にびっくりしちゃいます(もちろん話はつながっているのですが)。そういえば最近、米国で若年層を中心に神の存在を信じない人の割合が増えてきたというニュースを目にしました。国として徐々にそうなりつつあるのでしょうかね…

 『いのちの〜』はタイトル通り、医学・生物学の分野を中心に、最前線の科学研究を紹介するもの。読みやすくまとめられているのは良いのですが、新書サイズ(200ページちょっと)で10テーマなので、一個一個が薄く物足りなかったです。まぁ一般向けですし、気になったらそれぞれの論文を読めば良いだけの話なんですが。

 そんな一週間でございました。

 最後に、昨日思ってしまった、嫌〜なこと。著名人が亡くなった際に、ツイッターなどのSNSで、その衝撃や自分のお気持ちを逐一報告する人がいます。その行為自体は、外に向けて何かを書かないと整理がつかない(やってられない)人もいるということで、自分はしませんが理解はできます(一昔前は理解もできなかったけど)。しかし、その時に例えば「マジか…」などと書かれた際、その「…(3点リーダ)」がめちゃくちゃ気になるのです。「いや、余韻を表現しようとしとるやん…!抑揚つける余裕あるやんけ…!」と思ってしまうのです。指でわざわざ3点リーダを選んで打ち込んでいるわけで、どういう感情なのかめちゃくちゃ気になってしまうのです。

 これが性格があまりよろしくない発想だということは理解しているし、絶対にSNS上でその疑問を問えないこともわかっているのですが(そこで抑えられるだけ大人になのです)、つい気になってしまったのでした。一度その発想に至ってしまうと、もう3点リーダが気になって仕方なくなります。

 そんな一週間でございました。

 

通信障害・副反応・短編SFの夏

 7月2日。土曜日。今日もよく晴れていて、日中は38℃の激アツな一日でした。昨夜からau回線で通信障害が起きていたようで。私もauではないですがバリバリのuq回線なので昼間は通信が死んでいたのですが、どうやら世の中にはブチギレてauショップの店舗までいくエネルギッシュな人(時代に合わせた表現)も多いようで、そんなニュースを見ました。このクソ暑いのに元気なことで…しかし店舗に行って怒りをぶつけたからといって、回線が回復するわけでもないでしょうに。そもそも、それぐらいブチ切れる被害を被っているならば、前もってsimを複数準備しておくなどの対策をしとけば良かったのに…と思いました。きっとそういう方々は、電車も絶対に時刻通りにくるものだと信じているのでしょう…

 私もuq回線は死んでいましたが(現在も死に続けている)、別の回線もあるので、特に問題ありませんでした。回線が突然ダウンして困る生活(仕事を含めて)をしているならば、それぐらいの備えをしておくのが大人なのでは?と思うのでした。

 さて、そんな土曜日。昨日、3回目のワクチン接種をしてきたせいか、その副反応で二の腕の痛みが続いています。しかし2回目の接種のときと比べると楽です。2回目も昨年の夏頃に受けましたが、その時はクーラーをいれていても悪寒がおさまらず、吐き気もあって、かなーりしんどかったです。そんなわけで、腕の痛みもあって車を運転するのもちょっとだけ不安だったので家で過ごしていました。まぁ外に出ても暑いし…

 

 今週読んだ本の話。SFマガジン2022年8月号と、伴名練編『新しい世界を生きるための14のSF』を読みました。短編SFばかり読んでいました。

 SFマガジンは短編SF特集。表紙も涼しげですし、やはり夏は短編SFの季節です。茹だるような暑い日が続いていて「長編はちょっと重たいなー」という日でも、短編SFならさらさらっといけますもの。そのままでも良いですし、ミョウガやネギを合わせても美味いです。毎日短編SFばかりが続いてしまい「もう飽きたよぁ…」となるのも、もはや夏あるあるです。

 そんな与太話はおいといて、今月号はその名の通り短編SFがたくさん並んでいるのですが、なかでも天沢時生『すべての原付の光』が好みでした。不良が中坊をとっ捕まえてボコって刺繍入れてバカデカ大砲でぶっ放す話で、あらすじだけ読んでも意味がわからないですが、天沢氏のこういった治安悪いSFすごく好きです(「治安悪いSF」というジャンルがあるのかは不明です)。天沢氏は他の短編集でも、ヤクザがタオルでしばき合う話とか、侵入者を殺しまくる未来の店(某ドン・キホーテがモデルでしょう…)で大暴れする話を書いていて、どれも面白いです(もちろんどれも治安悪い)。それ以外の短編SFもどれもだいたい面白かったのですが、百合SFがちょこちょこあってちょっと食傷気味です。別に百合SF自体は良いのですが、ちょっとそこに乗っかりすぎでは…?と思ってしまいました。あんまり紹介文に「百合SF」と書かないでほしいなぁ…

 『新しい世界を〜』はこちらも短編SF集ですが、全800ページを超える鈍庫本(「鈍器みたいに分厚い文庫本」の略。私が名付けた)。編集した伴名練氏の読み応え十分な解説とブックガイドのついた一冊です。とはいえ、5本くらいは別の雑誌や短編集で読んだことがあったので、初めて読むのは9本ほどでした。こちらはSFマガジンよりも作品によって合う合わないの振り幅が大きかったです(それだけ広く寄り集めてくたということでしょう)。そんな中でも、八島游舷『Final Anchors』、高橋文樹『あなたの空が見たくて』、黒石迩守『くすんだ言語』が好みでした。あと既読済みのであれば、坂永雄一『無脊椎動物の想像力と創造性について』も。

 そういう一週間でした。おそらく今年読んだ中(そしてこれから読む中)でも一番分厚い文庫本(鈍庫本)だったことでしょう。ちなみについ先日、鈍行本(「鈍器みたいに分厚い単行本」の略。私が名付けた)も一冊買ったので、そのうち読む予定。今は寝かせる時間。 

 

怒涛の起爆剤は燃料を力強く燃やしエンジンを回転させ、飛行機は飛び立つ(日向坂46『渡邉美穂卒業セレモニー』の感想文のようなもの)

 つい昨日開催された、日向坂46渡邉美穂さんの卒業セレモニーを配信にて観ました。その感想文のような内容です(記憶が曖昧で順番バラバラの可能性大いにあります)。

 渡邉美穂さんがグループから卒業されるという発表が4月の頭にあり、そこからあっという間に3ヶ月が経ってしまい、ついに卒業セレモニーが開催されたわけです。ご本人もライブ中のMCで話されていましたが、いや本当にあっという間で、今の今まで実感なかったですわ…

 開演前、渡邉美穂さん、松田好花さん、富田鈴花さんの通称ごりごりドーナッツの三人による和やかな影ナレから始まり、「ミホワタナベのラストダンスの始まりだ!」の掛け声と共に、卒業セレモニーの幕が上がります。

 渡邉さん仕様に映像がアレンジされたOvertureからの、一曲目『ハッピーオーラ』。なるほどそう来たか…という印象の初手ハッピーオーラ。ひらがなけやき時代から脈々と受け継がれてきたグループのモットーであるハッピーオーラの源流。そういえば『ハッピーオーラ』のフロントが渡邉美穂さん、加藤史帆さん、小坂菜緒さんでしたものね。その後の幕間の映像でも、加藤史帆さんがセンターを務めたこの曲で、MV撮影中に隣にいた渡邉さんに励まされた思い出を語られていました。そして同じくその映像では加藤史帆さんと三期生の上村ひなのさんが登場していて、上村さんはダブルセンターを渡邉さんといっしょにやられた時に支えてくれたことの感謝を述べられていました。

 そして、そんなリスペクトスリー(渡邉美穂さん、加藤史帆さん、上村ひなのさん)による『やさしさが邪魔をする』。この曲もまぁ卒業にピッタリな曲で、仲間を送り出す心情を歌った曲です。こんなんずるいわ。としちゃん(加藤史帆さん)も涙でぐちゃぐちゃだったし、その一方で笑顔を保とうとする上村さん。三人の歌声の重なり具合が美しくて、ただただ三人の姿が尊くて、素晴らしかったです。ちなみに衣装も、渡邉さんのペンライトカラーに合わせた白と青のツートンカラー。

 その次は、カラーチャート(渡邉美穂さん、金村美玖さん、丹生明里さんのユニット)から、にぶちゃんのラジオ風の曲紹介からの『あくびLetter』。『やさしさ〜』とはまた違った穏やかな雰囲気で、三人の笑顔に暖かみを感じる一曲。カラーチャートはラジオ番組もやっていましたし(ベルクpresents 余計なことまでやりましょう)、考えたら渡邉さんってめちゃくちゃユニット曲あるよなぁ…

 カラーチャートの後は二期生曲が続きます。力強い表情とキレッキレの勇ましい振り付けがあの頃の二期生の感じ(わかるでしょう?特にひらがなの時の…!)を思い出させる『半分の記憶』、そして私が個人的にめちゃくちゃ好きな『沈黙が愛なら』。『半分の記憶』はキリッとした表情の映える曲ですが、『沈黙が愛なら』はうってかわって落ち着いた笑顔が印象的でした。そういえば『沈黙が愛なら』のサビの「不器用な僕たちのサヨナラ 言葉になんかできないよ」なんて、まさにこの状況じゃないか…と思うように、どの曲もそんなはずはないのに、まるで渡邉美穂さんがこの卒業セレモニーでこのステージで歌われるために書き下ろされた曲のように感じてくるのです。まるで渡邉さんが歌詞や曲そのものを引きつける引力をもっているようで、それはきっと渡邉さんの人間力がそうさせているのでしょうね。

 再び幕間の映像が映り、今度は一期生の高本彩花さん、佐々木久美さん、齊藤京子さんが初めて渡邉さんと対面したドラマ『Re:Mind』のことを振り返ります。一期生もリスペクトする渡邉さんの演技力の話になり、そこから『青春の馬』が披露されるのです。この流れ、本当にずるいわ。『青春の馬』は、これもドラマ『DASADA』のテーマ曲であり、そして頑張って前を向き走り出そうとしてる人の背中を力強くぶっ叩く、最強の応援ソングです。グループを離れて演技の道へ歩もうとする渡邉さんへのメッセージソングじゃないですかこんなの。振り付けもニクくて、曲の後半にセンターの小坂菜緒さんと濱岸ひよりさんがペアダンスをする振り付けがあるのですが、このステージでは、小坂さんと渡邉さんのペアダンスに変わっているというね。こんなん『DASADA』のエンディングじゃないか。私はもうここらへんでグッときて、以降メソメソしながら配信をみることになってしまいましたもの。

 メソメソしていたのに、「みなさぁ〜ん!セレモニーは楽しんでますかぁ〜〜〜??」という小学生みたいな声で登場したのはにぶちゃん。そして河田陽菜さんのお味噌汁コンビ。「二期生しか知らない美穂クイズ」のコーナーです。渡邉美穂さんに関するクイズを、一期生vs三期生で早押し対決で争います。そもそも人数的に三期生が不利(一期生が9人、三期生が4人)なのでは?という誰しもが感じたであろうことには一切触れず、勝った方には期生+渡邉美穂さんのスペシャルユニットで曲を歌えるという特典付き。

 クイズの内容は割愛しますが、にぶちゃんの出題したクイズで、

 にぶちゃん「色々なあだ名のある美穂ですが、唯一私だけが呼んでいるあだ名は?」という問題に、

 としちゃん「ぺろにゃんちー

 渡邉さん「可愛い!採用!」

 というやり取りが面白かったです。

 結局、クイズは三期生が1万1ポイントvs2ポイントで勝利し(なぜそうなった…?)、三期生+渡邉さんの5人で『Right?』が披露されます。私も三期生曲では『Right?』がかなり好きなので、嬉しかったです。『Right?』はとにかくハッピーで、振り付けがめちゃくちゃ可愛いんですよね。あと、MVではアルバム風に写真が流れていくような演出になっているので、曲を聴きながら「きっと三期生も加入してから、後輩というポジションで、渡邉さんとの思い出をたくさん作ってきたんだろうなぁ…」と思わざるをえませんでした。勝手に関係性を想像しちゃって感極まるおじさんでした。

 その三期生とのスペシャルユニットをステージ後ろから羨ましそうに覗いている一期生(相変わらずの素晴らしい団体芸)。影山さんが「今日だけは先輩の圧力使うから」と強引にスペシャルユニットを強要します。縦が厳しい日向坂。素晴らしいぜ(最初から想定されてただろ?なんて思わないの)。

 そんな一期生+渡邉さんで披露されたのが『それでも歩いてる』というね。いやはや、度肝を抜かれた選曲でした。「ふざけやがって全力で泣かせにきてるじゃねぇか馬鹿かよ…」と配信画面を前につぶやいていました。「それでも歩いてる」は前述の、渡邉さんが初めて一期生と顔合わせをしたドラマ『Re:Mind』の主題歌で、言うなれば始まりの曲なわけです。それが卒業セレモニーで披露されるというね。こんなの『Re:Mind』のエンディングじゃないか…振り付けの演出も、誰も座っていない椅子を一つだけ残すカットがあって、もうね、すべてがニクいです。あとそもそも『それでも歩いてる』自体がめちゃくちゃ良い曲。東京ドーム公演の感想文でも書いたけど、もはや現代のブルース。

 


www.youtube.com

 

 再びステージに全員が集合し、サプライズのビデオメッセージは冠番組『日向坂で会いましょう』MCのオードリーのお二人から。これも良かったなぁ…若林さんが番組での渡邉さんの立ち振舞や姿勢について感想を話されていたり、春日さんが締めの「また会おうや」でメンバーが湧いている感じを観ると、やっぱりカスキンはスターなんだなぁ…と感じます。

 セットリストはラストスパートに向かうように、『僕なんか』が披露されます。東京ドーム公演で初披露の時は「小坂さんの復帰」というストーリーもあっての『僕なんか』だったのが、その三ヶ月後には「渡邉さん最後の」というストーリーが組み込まれた『僕なんか』になるというね。これほど劇的な変貌を遂げたシングル曲もないでしょう。そして、内側に溜め込んだものを爆発させるように『NO WAR in the future 2020』では会場を煽りまくります。ぶち上げ楽曲。この『僕なんか』からの笑顔が眩しい『NO WAR〜』の表情の変化、素晴らしく良かったです。配信のカメラに映ってた、渡邉さんがとしちゃんに耳打ちしてとしちゃんが笑っている姿が微笑ましたかったし、『NO WAR〜』ラストの齊藤京子さんと渡邉さんの2ショットのカットは永久保存ものでした。

 さらにさらにアップテンポな『恋した魚は空を飛ぶ』。最新シングル曲の二期生カップリングで、センターはもちろん渡邉さん。泳ぐ魚が波打つような扇情的で尖りまくった振り付け(あとシンプルにめちゃくちゃ大変そう)の、ゴリゴリのダンストラックナンバーです。渡邉さんのソロダンスパート、凄まじかったです。その気迫に圧倒されっぱなしで、東京ドーム公演の時の『抱きしめてやる』(渡邉さんがセンターだった)を思い出しました。

 その後の、冒頭に渡邉さんをセンターにおいた『誰よりも高く跳べ!2020』でも会場を煽りまくります。イントロのフリーダンスは渡邉さん特技の「がおー」ダンス。渡邉さんもそうですが、このとんでもない熱量のセットリストをこなす二期生がエゲツない。特に個人的にそれを感じたのが宮田さん(宮田愛萌さん)で、これまで体力面でライブでも曲をお休みすることも多かったのですが、しっかり『恋魚』も『誰跳べ』も参加されてて、「ありがとう…!」って感じでした。ラスサビに入るところで「跳べぇぇぇぇぇ!!!」と観客に向かって叫ぶところがあり、いつもはキャプテンがやっているのですが、そこを渡邉さんに代わってあげていて(おそらくアドリブ?)、「おひさまーーー!!跳べぇぇぇぇぇ!!!!」と叫んだ直後に感極まって号泣する渡邉さん、その姿もエモーショナルでした。

 怒涛のセットリストを終えた後、映像で、ひらがなけやき二期生のオーディションに合格した時の映像からこれまでの5年間の軌跡を渡邉さんご自身の語りで振り返ります。映像最後の言葉「またどこかで会いましょう。私はずっと日向坂46の渡邉美穂です」が胸にぶっ刺さりましたわ。涙腺爆散するかと思った( ちょっとした)。

 そして仲間の新たな門出を祝福するような純白の衣装で、ステージにメンバー全員が登場し『飛行機雲ができる理由』が披露されます。ここまでくると「本当にいよいよなんだなぁ…」という気持ちになります。『飛行機雲〜』は前も書きましたが、空高く飛び去っていく飛行機と、残される飛行機雲に思いを馳せる曲です。渡邉さんも日向坂46から飛び立っていきますが、見送る者(メンバーにとっても、ファンにとっても)の中に確かに残ったモノがあるのです。そして飛行機雲は飛行機が前を向いて飛んでいくからこそ、残るものなわけで、それを感じさせるパフォーマンスでした。

 曲終わりにはキャプテンと渡邉さんの挨拶があり、一旦ステージが幕を閉じます。

 そして、鳴り止まないアンコールの手拍子の中、一人でステージに登場した渡邉さんは空色のドレスを着ていて、本当に最後の挨拶をされていました。

 15 分に及ぶ最後の挨拶は、全文がモデルプラスさんなどの記事にもアップされているのでそちらを読んで頂くとして、素晴らしい内容でした。一期生の明るさに励まされたこと、三期生の雰囲気が大好きで一緒に『Right?』ができて嬉しかったこと、同期の二期生は個性豊かな子たちばかりで、面白くて、大好きだったこと、そして最後にファンに向けた「私を見つけてくれてありがとう」と感謝の言葉を述べられていました。挨拶の途中で大粒の涙を流しつつも、最後まで堂々としておられました。

 

mdpr.jp

 

 挨拶のあと、二期生がステージに登場し、今度はメンバーから渡邉さんへの感謝の言葉が述べられました。そして、渡邉さんには完全に内緒のサプライズで、二期生と上村さんで歌われた『君のため何ができるだろう』。しかも富田さんのピアノ弾き語り。いやはや、やられましたね…何回やられんねんってぐらいやられました。『君のため何ができるだろう』は愛に溢れた感謝の歌ですが、もう渡邉さんを送り出すために書き下ろされたんじゃないかってぐらい素晴らしかったです(そう感じさせる場面がめちゃくちゃ多かった!)。アイドルという世界で、ライバル関係でありつつも、ともに戦う運命共同体である二期生の繋がりみたいなものを感じました。

 そして、一期生も三期生もステージに登場し、締めくくります。キャプテン久美さんからは渡邉さんがいない日向坂でこれからやっていくこと、そして小坂さんからは休業中に自分を離さないで繋ぎ止めてくれたこと(なおみくは永遠というかもはや神話)、そして三期生の髙橋未来虹さんは三期生にも愛を注いでくれたことの感謝を述べられていました(ドラマ『声春っ!』で渡邉さんが役をやっていた天音ちゃんに合わせて同じ髪型にしたことを話しながら、感極まって泣いてしまう髙橋さん、本当に健気)。

 そして、久美さんの曲紹介とともに、現日向坂メンバー22人全員で歌う最後の曲『JOYFUL LOVE』が披露されます。東京国際フォーラムを彩る虹色のペンライトは配信画面でも美しくて、これが渡邉さんへの最後のはなむけになるんだなぁ、とメソメソしっぱなしでした(おじさんだからずっとメソメソしていた)。そんな愛の歌を聴きながら、渡邉さんが日向坂46を愛していて、そしてメンバーからもファンからも愛されていたことを実感しました。

 最後の曲が終わり、渡邉さんは「私の大好きな日向坂を、私がいた日向坂をこれからも守り続けてくだい」という言葉で卒業セレモニーを締めくくりました。

 いやいや、本当に素晴らしいセレモニーでした。「埼玉が生んだ怒涛の起爆剤」は渡邉さんの初期のキャッチコピーですが、怒涛の起爆剤はそのアイドル人生の最後の瞬間まで格好良いアイドルでした。これまでにも日向坂46(あるいはひらがなけやきでも)から卒業していった人もいるのですが、こうやってちゃんとしたセレモニーを一区切りとして卒業していくのは初めてなので、キャプテンも話されていたように「どうなるんだろなぁ…」と思っていたのですが、ただただ素晴らしかったです。パフォーマンスでのメンバーの表情からも、渡邉さんが日向坂にとって欠かせない存在だったこと、そして別れを惜しみつつも新たな場所でも幸せになってほしいと心から願っていることが伝わってきました。本当に本当に、素晴らしいセレモニーでございました。

 

以下セットリスト

01. ハッピーオーラ

02. やさしさが邪魔をする(渡邉さん、加藤さん、上村さん)

03. あくびLetter(渡邉さん、金村さん、丹生さん)

04. 半分の記憶(二期生)

05. 沈黙が愛なら(二期生)

06. 青春の馬

07. Right?(三期生+渡邉さん)

08. それでも歩いてる(一期生+渡邉さん)

09. 僕なんか

10. NO WAR in the future 2020

11. 恋した魚は空を飛ぶ(二期生)

12. 誰よりも高く跳べ!2020

13. 飛行機雲ができる理由

アンコール

14. 君のため何ができるだろう(サプライズ)

15. JOYFUL LOVE

 

ーーー

 本当に、素晴らしい門出でした。渡邉さんの進む新たな世界も、輝かしいものであることを願っています。そして、私も頑張らなくちゃなぁ色々と…と思いました。そうやって常に観ている人・応援している人のエネルギーになりうる(なってきた)のが、日向坂46の渡邉美穂という存在だったのだと実感しました(以下、卒業セレモニーをみたあとに頭に思い浮かんだ曲。もし私がラジオDJだったら絶対にかけてるやつ)。

 


www.youtube.com