後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

怒涛の起爆剤は燃料を力強く燃やしエンジンを回転させ、飛行機は飛び立つ(日向坂46『渡邉美穂卒業セレモニー』の感想文のようなもの)

 つい昨日開催された、日向坂46渡邉美穂さんの卒業セレモニーを配信にて観ました。その感想文のような内容です(記憶が曖昧で順番バラバラの可能性大いにあります)。

 渡邉美穂さんがグループから卒業されるという発表が4月の頭にあり、そこからあっという間に3ヶ月が経ってしまい、ついに卒業セレモニーが開催されたわけです。ご本人もライブ中のMCで話されていましたが、いや本当にあっという間で、今の今まで実感なかったですわ…

 開演前、渡邉美穂さん、松田好花さん、富田鈴花さんの通称ごりごりドーナッツの三人による和やかな影ナレから始まり、「ミホワタナベのラストダンスの始まりだ!」の掛け声と共に、卒業セレモニーの幕が上がります。

 渡邉さん仕様に映像がアレンジされたOvertureからの、一曲目『ハッピーオーラ』。なるほどそう来たか…という印象の初手ハッピーオーラ。ひらがなけやき時代から脈々と受け継がれてきたグループのモットーであるハッピーオーラの源流。そういえば『ハッピーオーラ』のフロントが渡邉美穂さん、加藤史帆さん、小坂菜緒さんでしたものね。その後の幕間の映像でも、加藤史帆さんがセンターを務めたこの曲で、MV撮影中に隣にいた渡邉さんに励まされた思い出を語られていました。そして同じくその映像では加藤史帆さんと三期生の上村ひなのさんが登場していて、上村さんはダブルセンターを渡邉さんといっしょにやられた時に支えてくれたことの感謝を述べられていました。

 そして、そんなリスペクトスリー(渡邉美穂さん、加藤史帆さん、上村ひなのさん)による『やさしさが邪魔をする』。この曲もまぁ卒業にピッタリな曲で、仲間を送り出す心情を歌った曲です。こんなんずるいわ。としちゃん(加藤史帆さん)も涙でぐちゃぐちゃだったし、その一方で笑顔を保とうとする上村さん。三人の歌声の重なり具合が美しくて、ただただ三人の姿が尊くて、素晴らしかったです。ちなみに衣装も、渡邉さんのペンライトカラーに合わせた白と青のツートンカラー。

 その次は、カラーチャート(渡邉美穂さん、金村美玖さん、丹生明里さんのユニット)から、にぶちゃんのラジオ風の曲紹介からの『あくびLetter』。『やさしさ〜』とはまた違った穏やかな雰囲気で、三人の笑顔に暖かみを感じる一曲。カラーチャートはラジオ番組もやっていましたし(ベルクpresents 余計なことまでやりましょう)、考えたら渡邉さんってめちゃくちゃユニット曲あるよなぁ…

 カラーチャートの後は二期生曲が続きます。力強い表情とキレッキレの勇ましい振り付けがあの頃の二期生の感じ(わかるでしょう?特にひらがなの時の…!)を思い出させる『半分の記憶』、そして私が個人的にめちゃくちゃ好きな『沈黙が愛なら』。『半分の記憶』はキリッとした表情の映える曲ですが、『沈黙が愛なら』はうってかわって落ち着いた笑顔が印象的でした。そういえば『沈黙が愛なら』のサビの「不器用な僕たちのサヨナラ 言葉になんかできないよ」なんて、まさにこの状況じゃないか…と思うように、どの曲もそんなはずはないのに、まるで渡邉美穂さんがこの卒業セレモニーでこのステージで歌われるために書き下ろされた曲のように感じてくるのです。まるで渡邉さんが歌詞や曲そのものを引きつける引力をもっているようで、それはきっと渡邉さんの人間力がそうさせているのでしょうね。

 再び幕間の映像が映り、今度は一期生の高本彩花さん、佐々木久美さん、齊藤京子さんが初めて渡邉さんと対面したドラマ『Re:Mind』のことを振り返ります。一期生もリスペクトする渡邉さんの演技力の話になり、そこから『青春の馬』が披露されるのです。この流れ、本当にずるいわ。『青春の馬』は、これもドラマ『DASADA』のテーマ曲であり、そして頑張って前を向き走り出そうとしてる人の背中を力強くぶっ叩く、最強の応援ソングです。グループを離れて演技の道へ歩もうとする渡邉さんへのメッセージソングじゃないですかこんなの。振り付けもニクくて、曲の後半にセンターの小坂菜緒さんと濱岸ひよりさんがペアダンスをする振り付けがあるのですが、このステージでは、小坂さんと渡邉さんのペアダンスに変わっているというね。こんなん『DASADA』のエンディングじゃないか。私はもうここらへんでグッときて、以降メソメソしながら配信をみることになってしまいましたもの。

 メソメソしていたのに、「みなさぁ〜ん!セレモニーは楽しんでますかぁ〜〜〜??」という小学生みたいな声で登場したのはにぶちゃん。そして河田陽菜さんのお味噌汁コンビ。「二期生しか知らない美穂クイズ」のコーナーです。渡邉美穂さんに関するクイズを、一期生vs三期生で早押し対決で争います。そもそも人数的に三期生が不利(一期生が9人、三期生が4人)なのでは?という誰しもが感じたであろうことには一切触れず、勝った方には期生+渡邉美穂さんのスペシャルユニットで曲を歌えるという特典付き。

 クイズの内容は割愛しますが、にぶちゃんの出題したクイズで、

 にぶちゃん「色々なあだ名のある美穂ですが、唯一私だけが呼んでいるあだ名は?」という問題に、

 としちゃん「ぺろにゃんちー

 渡邉さん「可愛い!採用!」

 というやり取りが面白かったです。

 結局、クイズは三期生が1万1ポイントvs2ポイントで勝利し(なぜそうなった…?)、三期生+渡邉さんの5人で『Right?』が披露されます。私も三期生曲では『Right?』がかなり好きなので、嬉しかったです。『Right?』はとにかくハッピーで、振り付けがめちゃくちゃ可愛いんですよね。あと、MVではアルバム風に写真が流れていくような演出になっているので、曲を聴きながら「きっと三期生も加入してから、後輩というポジションで、渡邉さんとの思い出をたくさん作ってきたんだろうなぁ…」と思わざるをえませんでした。勝手に関係性を想像しちゃって感極まるおじさんでした。

 その三期生とのスペシャルユニットをステージ後ろから羨ましそうに覗いている一期生(相変わらずの素晴らしい団体芸)。影山さんが「今日だけは先輩の圧力使うから」と強引にスペシャルユニットを強要します。縦が厳しい日向坂。素晴らしいぜ(最初から想定されてただろ?なんて思わないの)。

 そんな一期生+渡邉さんで披露されたのが『それでも歩いてる』というね。いやはや、度肝を抜かれた選曲でした。「ふざけやがって全力で泣かせにきてるじゃねぇか馬鹿かよ…」と配信画面を前につぶやいていました。「それでも歩いてる」は前述の、渡邉さんが初めて一期生と顔合わせをしたドラマ『Re:Mind』の主題歌で、言うなれば始まりの曲なわけです。それが卒業セレモニーで披露されるというね。こんなの『Re:Mind』のエンディングじゃないか…振り付けの演出も、誰も座っていない椅子を一つだけ残すカットがあって、もうね、すべてがニクいです。あとそもそも『それでも歩いてる』自体がめちゃくちゃ良い曲。東京ドーム公演の感想文でも書いたけど、もはや現代のブルース。

 


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 再びステージに全員が集合し、サプライズのビデオメッセージは冠番組『日向坂で会いましょう』MCのオードリーのお二人から。これも良かったなぁ…若林さんが番組での渡邉さんの立ち振舞や姿勢について感想を話されていたり、春日さんが締めの「また会おうや」でメンバーが湧いている感じを観ると、やっぱりカスキンはスターなんだなぁ…と感じます。

 セットリストはラストスパートに向かうように、『僕なんか』が披露されます。東京ドーム公演で初披露の時は「小坂さんの復帰」というストーリーもあっての『僕なんか』だったのが、その三ヶ月後には「渡邉さん最後の」というストーリーが組み込まれた『僕なんか』になるというね。これほど劇的な変貌を遂げたシングル曲もないでしょう。そして、内側に溜め込んだものを爆発させるように『NO WAR in the future 2020』では会場を煽りまくります。ぶち上げ楽曲。この『僕なんか』からの笑顔が眩しい『NO WAR〜』の表情の変化、素晴らしく良かったです。配信のカメラに映ってた、渡邉さんがとしちゃんに耳打ちしてとしちゃんが笑っている姿が微笑ましたかったし、『NO WAR〜』ラストの齊藤京子さんと渡邉さんの2ショットのカットは永久保存ものでした。

 さらにさらにアップテンポな『恋した魚は空を飛ぶ』。最新シングル曲の二期生カップリングで、センターはもちろん渡邉さん。泳ぐ魚が波打つような扇情的で尖りまくった振り付け(あとシンプルにめちゃくちゃ大変そう)の、ゴリゴリのダンストラックナンバーです。渡邉さんのソロダンスパート、凄まじかったです。その気迫に圧倒されっぱなしで、東京ドーム公演の時の『抱きしめてやる』(渡邉さんがセンターだった)を思い出しました。

 その後の、冒頭に渡邉さんをセンターにおいた『誰よりも高く跳べ!2020』でも会場を煽りまくります。イントロのフリーダンスは渡邉さん特技の「がおー」ダンス。渡邉さんもそうですが、このとんでもない熱量のセットリストをこなす二期生がエゲツない。特に個人的にそれを感じたのが宮田さん(宮田愛萌さん)で、これまで体力面でライブでも曲をお休みすることも多かったのですが、しっかり『恋魚』も『誰跳べ』も参加されてて、「ありがとう…!」って感じでした。ラスサビに入るところで「跳べぇぇぇぇぇ!!!」と観客に向かって叫ぶところがあり、いつもはキャプテンがやっているのですが、そこを渡邉さんに代わってあげていて(おそらくアドリブ?)、「おひさまーーー!!跳べぇぇぇぇぇ!!!!」と叫んだ直後に感極まって号泣する渡邉さん、その姿もエモーショナルでした。

 怒涛のセットリストを終えた後、映像で、ひらがなけやき二期生のオーディションに合格した時の映像からこれまでの5年間の軌跡を渡邉さんご自身の語りで振り返ります。映像最後の言葉「またどこかで会いましょう。私はずっと日向坂46の渡邉美穂です」が胸にぶっ刺さりましたわ。涙腺爆散するかと思った( ちょっとした)。

 そして仲間の新たな門出を祝福するような純白の衣装で、ステージにメンバー全員が登場し『飛行機雲ができる理由』が披露されます。ここまでくると「本当にいよいよなんだなぁ…」という気持ちになります。『飛行機雲〜』は前も書きましたが、空高く飛び去っていく飛行機と、残される飛行機雲に思いを馳せる曲です。渡邉さんも日向坂46から飛び立っていきますが、見送る者(メンバーにとっても、ファンにとっても)の中に確かに残ったモノがあるのです。そして飛行機雲は飛行機が前を向いて飛んでいくからこそ、残るものなわけで、それを感じさせるパフォーマンスでした。

 曲終わりにはキャプテンと渡邉さんの挨拶があり、一旦ステージが幕を閉じます。

 そして、鳴り止まないアンコールの手拍子の中、一人でステージに登場した渡邉さんは空色のドレスを着ていて、本当に最後の挨拶をされていました。

 15 分に及ぶ最後の挨拶は、全文がモデルプラスさんなどの記事にもアップされているのでそちらを読んで頂くとして、素晴らしい内容でした。一期生の明るさに励まされたこと、三期生の雰囲気が大好きで一緒に『Right?』ができて嬉しかったこと、同期の二期生は個性豊かな子たちばかりで、面白くて、大好きだったこと、そして最後にファンに向けた「私を見つけてくれてありがとう」と感謝の言葉を述べられていました。挨拶の途中で大粒の涙を流しつつも、最後まで堂々としておられました。

 

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 挨拶のあと、二期生がステージに登場し、今度はメンバーから渡邉さんへの感謝の言葉が述べられました。そして、渡邉さんには完全に内緒のサプライズで、二期生と上村さんで歌われた『君のため何ができるだろう』。しかも富田さんのピアノ弾き語り。いやはや、やられましたね…何回やられんねんってぐらいやられました。『君のため何ができるだろう』は愛に溢れた感謝の歌ですが、もう渡邉さんを送り出すために書き下ろされたんじゃないかってぐらい素晴らしかったです(そう感じさせる場面がめちゃくちゃ多かった!)。アイドルという世界で、ライバル関係でありつつも、ともに戦う運命共同体である二期生の繋がりみたいなものを感じました。

 そして、一期生も三期生もステージに登場し、締めくくります。キャプテン久美さんからは渡邉さんがいない日向坂でこれからやっていくこと、そして小坂さんからは休業中に自分を離さないで繋ぎ止めてくれたこと(なおみくは永遠というかもはや神話)、そして三期生の髙橋未来虹さんは三期生にも愛を注いでくれたことの感謝を述べられていました(ドラマ『声春っ!』で渡邉さんが役をやっていた天音ちゃんに合わせて同じ髪型にしたことを話しながら、感極まって泣いてしまう髙橋さん、本当に健気)。

 そして、久美さんの曲紹介とともに、現日向坂メンバー22人全員で歌う最後の曲『JOYFUL LOVE』が披露されます。東京国際フォーラムを彩る虹色のペンライトは配信画面でも美しくて、これが渡邉さんへの最後のはなむけになるんだなぁ、とメソメソしっぱなしでした(おじさんだからずっとメソメソしていた)。そんな愛の歌を聴きながら、渡邉さんが日向坂46を愛していて、そしてメンバーからもファンからも愛されていたことを実感しました。

 最後の曲が終わり、渡邉さんは「私の大好きな日向坂を、私がいた日向坂をこれからも守り続けてくだい」という言葉で卒業セレモニーを締めくくりました。

 いやいや、本当に素晴らしいセレモニーでした。「埼玉が生んだ怒涛の起爆剤」は渡邉さんの初期のキャッチコピーですが、怒涛の起爆剤はそのアイドル人生の最後の瞬間まで格好良いアイドルでした。これまでにも日向坂46(あるいはひらがなけやきでも)から卒業していった人もいるのですが、こうやってちゃんとしたセレモニーを一区切りとして卒業していくのは初めてなので、キャプテンも話されていたように「どうなるんだろなぁ…」と思っていたのですが、ただただ素晴らしかったです。パフォーマンスでのメンバーの表情からも、渡邉さんが日向坂にとって欠かせない存在だったこと、そして別れを惜しみつつも新たな場所でも幸せになってほしいと心から願っていることが伝わってきました。本当に本当に、素晴らしいセレモニーでございました。

 

以下セットリスト

01. ハッピーオーラ

02. やさしさが邪魔をする(渡邉さん、加藤さん、上村さん)

03. あくびLetter(渡邉さん、金村さん、丹生さん)

04. 半分の記憶(二期生)

05. 沈黙が愛なら(二期生)

06. 青春の馬

07. Right?(三期生+渡邉さん)

08. それでも歩いてる(一期生+渡邉さん)

09. 僕なんか

10. NO WAR in the future 2020

11. 恋した魚は空を飛ぶ(二期生)

12. 誰よりも高く跳べ!2020

13. 飛行機雲ができる理由

アンコール

14. 君のため何ができるだろう(サプライズ)

15. JOYFUL LOVE

 

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 本当に、素晴らしい門出でした。渡邉さんの進む新たな世界も、輝かしいものであることを願っています。そして、私も頑張らなくちゃなぁ色々と…と思いました。そうやって常に観ている人・応援している人のエネルギーになりうる(なってきた)のが、日向坂46の渡邉美穂という存在だったのだと実感しました(以下、卒業セレモニーをみたあとに頭に思い浮かんだ曲。もし私がラジオDJだったら絶対にかけてるやつ)。

 


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