後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

でも一番好きなパンデミックSF作品は『ブラッド・ミュージック』

 2月19日。土曜日。終日雨が降り続いていた一日。今週はまた雪が降り積もったため車が使えない日がありました。今年は例年よりも雪が降っている珍しい年ですね。今週は卒論発表会などもありましたが、オンラインでも視聴ができるので本当に良い時代になりました。それこそ2年前まではまずありえなかったでしょう(もちろん技術的には可能だったのだけれども、当時は誰もやりたがらなかった)。

 研究活動的には、ようやく実験データを取り終えたので、そのデータを統計にかけて論文を書くフェーズに入りました。論文を書くのが大の苦手なのですが、その一方で研究室に行かなくても済む作業なので、楽といえば楽です。研究室にはゼミや打ち合わせなど、必要なときだけ行き、あとは家に閉じこもっています。今は授業のお仕事もないですしね。しかし家にずっといたらいたで滅入ってくるので、早朝か深夜に散歩に出かけています。傍から見たらどうしようもない大人ですね。きっとご近所さんから思われていることでしょう。あはは。

 また、ETCカードをようやく手に入れました。手に入れたといっても、契約しているクレジットカードに付加をする申し込みをしただけですが(面倒臭がってずっとしてなかった)。なにはともわれ、最強カードを手に入れたのでこれでようやく高速道路に乗ることができます(別にETCカードがなくても高速道路には乗れる)。ガソリンがバカ高くてやってらんないご時世ですが、もう少し暖かくなったら北陸に行きたいのです。この二年くらい、全くと行っていいほど遠出をしなくなってしまい新幹線にすら乗っていないのですが、もうそろそろ解禁したくなりました。恐竜博物館行きてぇなぁ、魚介くいてぇなぁ…

 

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 クリスティーナ・スウィーニー=ビアード『男たちを知らない女』を読みました。こちらも早川書房よりつい先日発売したばかりの新刊(早川書房にいったいいくら使っているのやら…)。「近未来パンデミックSF」というわかるようなわからないようなキャッチコピーがついていました。内容は、近い未来に男性のみ発症する致死率90%の伝染病が蔓延してしまった世界で、女性たちはどう生きていくのか…って感じのパンデミックモノです。タイトルのまんまですね。こういったパンデミックSF(といいいつつ、この作品はそこまでSFSFしてなかったけど)は、やはりこのご時世の文字通り流行り物なだけに、2020年〜21年にかけてぐんと増えた印象があります。不謹慎な言い方かもしれないけれど、売れ線なのでしょうね。…と思っていたら著者が本作を書き上げたのは2018年とのことで、コロナウイルスの流行する全然前でした。

 どうでもいいことですけれど、過去出版されたパンデミック作品(特にウイルスや感染症が関係しているもの)にも「コロナを予兆していた」なんて陳腐な売り文句が並んでいるんですけど、それいいかげんやめたら?と思うのです。それぐらいの想像力、程度や危機感は違えど、みんなもっているでしょうに(そうでもない?)。

 閑話休題。本作品もウイルスが原因で、バッタバッタと人が死んでいきます。それも男だけ。こういったジェンダーを主題に扱った作品というのは感想を述べることすらも難しい時代になっています。私は、「まぁ人類てのは未曾有の危機に瀕したとしても立て直すことができるよね」というありふれた感想と、「人間、ちょっとぐらい未曾有の危機に瀕したところで、個々人の資質みたいなものは変わらないよなぁ」という感想を持ちました。大きな災害(感染症だけでなく、自然災害やテロも含めて)があった時、なにかと「絆」「想い」だとか、そういった口当たりの良い言葉ばかりがもてはやされ、危機を乗り越えるためには「一致団結」することが最適解だとされがちですが、やっぱりそれだけじゃないのが人間なのですよね(だから有事の際に犯罪を犯す人もいるし、ビジネスチャンスだと捉える人もいるわけで)。そして「男性のみが死ぬ」というのもミソになっていて、愛する人(夫や息子)を失った人間にどう立ち直るのか(そもそも立ち直らないといけないことなのか)みたいなところが、科学者やジャーナリストや政治家やらの様々な立場から描かれています。

 あまりSFっぽくはなかったですけど、そこそこ面白かったです(540ページはちょっと長かったけど)。

 一つだけ気になった点。最初の犠牲者が出てその感染症の原因となったウイルスがどこから来たものか、そしてなぜ男性のみに発症するのか、を様々な科学者や医者が調べようと奮闘し、やがて発見するわけですが、そのスピードがちょっと遅いのではないかな、と思いました。現代の科学技術とこれまでの歴史の中で起きた感染症に関する知見(SARSやMARS)があれば、作中で提示される答え(ウイルスがどこ由来なのか)に行き着くまでにそんなに時間かかるかぁ?なんて思ったのでした。まぁ、それは別にこの作品の核ではないし、そういうこと言うやつがいるからSFが広まらないのでしょうけれども…(先日あった、とあるエンジニアが宇宙がテーマの某作品を批判したことが話題になったニュースをひっそりと思い出しました)

  

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