後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

水とポンプ

 12月29日。水曜日。今日もド寒い一日でございました。月曜日にクソ積もっていた雪もさすがに水曜日となるとだいたい解けていました。私の住んでいる地方ではめったに雪が降らない、降っても積もらないため、毎年ノーマルタイヤで乗り越えています。降っても年に1, 2日なのでもったいないし交換もめんどいので。しかし、さすがに今年は運悪くバカほど積もってしまったので大変でした(運任せノーマルタイヤ特攻をしない程度には賢いのです)。

 そんなこんなで水曜日。さすがに年末なので大学も人の数は少なくなっておりました。私は年末年始も普段と全く変わらない生活を送っていますが。正月感も皆無です。餅もくわねぇ年賀状も書かねぇ。今日も研究室で過ごしていました。試薬を作ったり、資料を作ったり。試薬を作るためにはキレイな水が必要で、そのための純水製造装置というものが実験室にあるのですが、その機械が先週壊れてしまいました。この機械は、水道水にフィルターをかませて不純物を取り除き、そしてさらにイオン交換樹脂膜を通すことでカチオン(Na+とかMg2+)とアニオン(Cl-とか)を除去する装置です。実験用の試薬をつくるには必要不可欠なものなのですが、それが壊れてしまったのでまぁ大変です。機械自体を直そうにも年末なので修理も呼べず、仕方ないので精製水自体を買ってその場をしのいでいる状況です。THE 付け焼き刃。とりあえず20 L分だけあるのですが、これが尽きたらもうお終いです。しかしこの精製水、20 Lで2000円ほどするのですが、ほんといい商売。だって水だぜぇ…?そんな研究室事情でございました。

 

 つい先日発売されたばかりのS-Fマガジン2022年2月号と、発売は少し前のパオロ・バチガルピ『第六ポンプ』を読みました。最近はノンフィクションばかり読んでいたのでSFを。S-Fマガジンはまず表紙が素晴らしく良いです。S-Fマガジンは毎号買っているわけではないのですが、今回は表紙を見てつい買ってしまいました。まぁあと執筆陣の好みもあったけれども。印象的だったのは柞刈湯葉氏の宇宙ラーメンシリーズ新作。ぜひともこのシリーズはNHKの10分ぐらいの枠でアニメ化してほしい(めちゃくちゃ合うと思う)。あと天沢時生氏の短編も面白かった。ドン・キホーテ(をモデルにした商店)が未来ではやべぇことになっている話。意味分かんないけどそのまんまだから仕方ない。他の短編もエッセイも面白いものが多くて、私的には当たり月でした(そうじゃない月もあるのがS-Fマガジンのニクいところ)。

 『第六ポンプ』はパオロ・バチガルピという絶対一回では覚えられなさそうなアメリカ生まれの作家の短編集です。表題作の『第六ポンプ』は、痴呆化が広まった世界の下水処理場で働く主人公がポンプのエラーを見つける話です。ポンプを直さなくては危険な化学物質が市街にあふれてしまうのですが、その直し方を誰も知らないしそもそも誰も危機感をもっていなくて…という現代への風刺を効かせたような作品です。バチガルピの作品は初めて読みましたが、表題作以外にも全体的に後味の悪い作品ばかりです。有機的な嫌〜な匂いが漂ってくるような。なかなか面白かったです。あと、この本も表紙のデザインが素晴らしい。

 

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