後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

タイムマシン

 『サマータイムマシン・ブルース』という作品がある。2001年に劇団ヨーロッパ企画によって公演された後、2005年には映画化までされた作品だ。私はこの作品がめちゃくちゃ好きで、舞台の方は観たことがないのだけど、映画版の方はDVDを買って何度も観た(上野樹里がまた可愛いんだぁ…)。ストーリーは、エアコンのリモコンを壊してしまった大学生が「タイムマシンを使って壊れないようにすればいーじゃん」という天才的かつ阿呆な解決方法のために奔走する話だ(本当にそのままなのだ)。タイムマシンの無駄遣い極まりない展開のくせに、ちゃんとSFになっているのが素晴らしい。何より、腐れ大学生と夏休みというシチュエーションがエモい。腐れ大学生が一番輝く季節が夏であり、夏の季語に「腐れ大学生」を入れたいぐらいだ。

 話は変わって森見登美彦作品について。森見登美彦氏の作品も好きでだいたい読んでいる。特に初期は私の好きな腐れ大学生が主人公の作品が多かったのだが、その中に『四畳半神話大系』という作品がある。2005年に出版され、2010年にはアニメ化もされている。私はもちろん原作も読んでいるし、アニメ版はDVDも持っている(ふふん)。さて『四畳半神話大系』は、どんな大学生活を過ごそうともどれだけやり直そうとしてみても、結局は似たような感じに収束してしまう、みたいな平行世界を舞台にした話だ(説明下手くそですみません)。この作品も腐れ大学生が輝いている。そして何よりも四畳半の狭部屋と腐れ大学生の相性が抜群であることを感じさせてくれる。探偵とルーペ、老人とダルメシアン、そして四畳半と腐れ大学生。

 さて、そんな愛すべき『サマータイムマシン・ブルース』と『四畳半神話大系』であるが、この夏、その2作品を見事に融合した作品が出版された。

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 それが『四畳半タイムマシンブルース』だ。なんというか、そのまますぎて拍子抜けするようなタイトルでなのだが、しかしやっぱりめちゃくちゃ面白かった。『四畳半神話大系』のキャラクターが『サマータイムマシン・ブルース』の世界を縦横無尽に駆け回るストーリーは、あの時愛した作品にもう一度出会えたかのような懐かしさもあり、でもちゃんと新しくて、何より爽やかな読後感が心地よかった。夏のこのクソ暑い時期に読んだからこそ、余計にそう思ったのかもしれない。そしてやっぱり腐れ大学生モノは良いなぁ…と再認識したのであった(この辺の感覚について、書きたいんだけど長くなりそうだからまたどこかで暇なときにでも…)。

 買ってきたその日に一気読みしてしまったほどだった。いやー面白かった。またきっと何年後かにアニメ化もするんだろうなぁ…