後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

盆・ホラー・飛行機

 8月14日。昨夜は土砂降りだったものの、台風の被害は思っていたより少なく、暑さもやわらぐ日曜日です(ただし相変わらず蒸し暑い)。

 お盆真っ只中ですが、だからといって墓参りをするわけでもなく、今年も特にお盆らしいことをする予定もありません(というかお盆らしいことってそもそもなんだ…?)。「盆の行事を一切しない」と言うと眉をひそめられるのですが、墓参り自体は毎月の月命日の日に行っていますし、その時に墓石が汚れてたり雑草が生えてたら掃除もしていますので、わざわざお盆の時期に行かないというだけです。私自身は先祖やそれにまつわる文化を信じておらず(だからといって他人がそれをするのを否定するつもりも毛頭ありませんが)、家族が亡くなったという事象だけが私にとっての現実なわけです。そもそも、以前にも書いたことかもしれませんが、故人を偲ぶのに墓すらも不要だと思うのです。私の家は農家だったので土地に根付いた墓がたまたまありましたが、別にどこでだっていつだって、それ(故人を偲ぶこと)はできることであって、それぞれが納得する形ですれば良いと思うのです。あくまでもそれらは生者にとってのイベントなのですから。

 そういえば以前読んだ本で、狩猟採取から農耕への移行に伴う定住化によってこういった墓(のようなモノ)の文化が根付いた、ということが書かれていました。定住化すると亡くなった者を住まいの近くに葬らなくてはならず、すると先行する祖先の遺体がその土地に溜まってきて、自分の祖先のことを思い出しやすくなる、という内容でした(うろ覚えですが)。常に移動し続ける狩猟民族の場合は、亡くなったらその度に遺体はその場に置いていくので、こういった感覚が生まれにくいそうです(どうでも良い余談でした)。

 

 今週読んだ本の話。今週はなかなか時間がとれず、文庫本を2冊だけ。綾辻行人『人間じゃない<完全版>』と森博嗣ナ・バ・テア』を読みました。

 綾辻行人森博嗣というのは、なんだかあの頃(2000年前後)の講談社ノベルスみたいな組み合わせだ…一応、どちらも7月8月発売の新刊です。といっても、『人間じゃない』は2017年に出た単行本の文庫化ですし、『ナ・バ・テア』は2004年に出版された単行本の新装文庫版ですが(2005年に文庫化済)。

 『人間じゃない』は単行本を読んでなかったので、初見でした。かなり久しぶりの綾辻行人作品でしたが、相変わらず読みやすくて良いです。こちらは短編集で、中でもホラーテイストの表題作「人間じゃない」が一番好みでした。だいぶ昔に読んだ『フリークス』っぽいなーと思ったら、著者も意識されていたようで。ミステリとしてはライトですが(そもそも短編ミステリって限界ありますもんね)、夏っぽくてよかったです。そして、綾辻行人館シリーズが暗黒館を前に止まっていたのを思い出したので、そろそろ読みたいなぁと思ったのでした(本自体は購入済みですが10年ぐらい寝かせています。だってゲキ厚いんだもの…)。

 逆に『ナ・バ・テア』は10年ほど前に読んでいましたが、なぜか今年からスカイ・クロラシリーズが新装版として発売されるようなので(本当になぜなんだ…)、それに合わせて読み直しています。久しぶりで内容も大部分を忘れていたので、再読ですがなかなか新鮮な感覚で味わえました。このシリーズは余計なモノが限界まで削ぎ落とされているような感じで、クリアで、森作品の中でも特に好みです。飛行機も飛ぶために余計なものを削ぎ落としますしね(上手いこと言いました)。

 そんな一週間でした。