後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

さよなら三角

 5月21日。土曜日。ここ数日は天気は悪くも暖かい日が続いています。こんなに暖かいのに、SNSでは三角関数の話ばかり飛び交っていて、げんなりします。いつまで言ってんだ。もともとは某議員さんが「三角関数よりも金融教育を」と発言したことから広まったのですが、それが挙句の果てには発言した議員さんのプロフィールを引っ張り出してきて「苦労してないから」などと嘲笑するまでに至っていました。そこまでいくとそれはただの個人攻撃じゃないか。誰が発言した、ではなく、あくまでその発言の内容で議論すべきでしょう。あと、苦労なんてできることならしないほうが良いですし、苦労せずに生きられるのが国(社会)の豊かさなのではないか、とも思うのでした。三角関数が必要かどうかも、そりゃ知らなくても生きていける(人もいる)し、知らなくても生きていけるのも「豊かさ」であるとも言えると思います。私は三角関数も、比較して槍玉に挙げられる古文漢文も勉強してよかったと思いますが…

 

 最近読んだ本の話。今週はノンフィクション2冊の短編集1冊。野村泰紀『なぜ宇宙は存在するのか』、バーチャル美少女ねむ『メタバース進化論』、樋口恭介『眼を開けたまま夢を見る』を読みました。宇宙とメタバースと短編SFという、やりすぎだろって感じのチョイスです。

 

 『なぜ宇宙は存在するか』は、理論物理学を数式を使わずに解説しようと試みた本。コンセプトはわかるけど「ここは数式出してくれたほうがわかりやすいんじゃないか?」と思うところもちょこちょこあって、そこそこ難しかったです。ビッグバン宇宙の話は面白かった。

 『メタバース進化論』は最近流行りのメタバースについて、実際に利用されているサービスの解説と、ユーザーのアンケートをもとに論じた本。以前『スノウ・クラッシュ』を読んでから、「じゃあ今現在利用されているメタバースってどんなもんなんや?」と思って手に取りました。「メタバース」って言葉としては広まっているし、なんだかすごそうな気はするけれども、そこでやってることが結局は現実世界の真似事じゃないか…と思っていたのですが(その意識は今もあまり変わらないけれども)、メタバースという環境があってこそ自由を得られている人は確かにいて、そこでは経済をも生み出している…というのは新たに知れて良かったかな、と思います。でもその経済も結局は現実世界で生きていくための経済なんだよなぁ…とも思いましたが。

 『眼を開けたまま夢を見る』は著者の樋口氏がこれまでnoteなどに書いてきた短編をまとめた本。商業作品としては出ていない作品がまとめらていて、こういうのが手軽にリリースされて、手軽に読むことができるというのは電子書籍の強みだな、と改めて思いました。色んな作品がありましたが、パワプロ好きの小学生が初めて本物の野球をやってみる話(「野球」)と、ただただ地元を歩く話(表題作「眼を開けたまま夢を見る」)、人の目に寄生する虫の話(「字虫」)が面白かったです。