後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

日向坂46 1stアルバム『ひなたざか』についてのこと

 先日9月23日に日向坂46の1stアルバム『ひなたざか』が発売されました。もちろん私もフラゲしたり、仕事のついでにタワレコに寄ったりとで3タイプ(Aタイプ、Bタイプ、通常版)を購入しました。そしてそのアルバムについて色々書きたいなーと思っていたのですが、なかなか時間がなく、気づいたら週末となっていました。しかし、アルバムを聴けば聴くほどなんか書きたい欲がとめどなく溢れてくるので、発散させるべく、ごちゃごちゃと書きたいと思います。完全に自己満足です。あはは。

f:id:sibainu_08:20200926033746j:plain

 まずそもそも『ひなたざか』というアルバムタイトルが素晴らしいです。日向坂46として2019年に改名デビューしてからの待望の1stアルバムですが、その前身のけやき坂46(通称ひらがなけやき)だったことも大切にしていて、そのけやき坂46と日向坂46がしっかり地続きになっていることを感じさせてくれます。エモポイントです。そしてアルバムのCMもまた良いんです。国立競技場のトラックにメンバーが並んで立ち、「いつだって、未来は味方だ」というフレーズがめちゃくちゃ良いCMなのです。

 

f:id:sibainu_08:20200927061800p:plain

 

 

 アルバムの曲順もニクいのです。これまでリリースしてきたシングル曲やリード曲『アザトカワイイ』はどのタイプのアルバムにも収録されているのですが、その曲順がそれぞれの盤で異なっていて、ライブのセットリストのような構成になっています。1曲目は『Overture』(ライブ最初にかかる出囃子曲)で統一されていたり、アップテンポ盛り上がり曲で集めたゾーンがどの盤にもあったり、ラストは『JOYFUL LOVE』や『約束の卵 2020』といったエモ曲で締めていたりと、工夫が凝らされています。インタビューでも答えられていましたが、このご時世なかなかライブができない状況の中、少しでもライブを感じられるようにという想いが込められていて、めちゃくちゃ素敵。私は車を運転する時に通しで聴いているので、謂わばその度にライブを味わっているようなものなのです。またA盤とB盤にはライブ映像もついていて、「ライブが強い日向坂46」というのを体感することができます。いや、ほんと、良いアルバムだなぁ…(しみじみ)

 


特典映像『日向坂46デビューカウントダウンライブ!!in 横浜アリーナ~けやき坂46LAST LIVE~』ダイジェスト

 


特典映像『日向坂46デビューカウントダウンライブ!!in 横浜アリーナ~日向坂46 FIRST LIVE~』ダイジェスト

 

 そんな『ひなたざか』の個人的に良いと思った曲についていくつか書きたいと思います(もちろん全曲良いのですがねぇ〜)。

 

『アザトカワイイ』

 アルバムリード曲『アザトカワイイ』はMVも一ヶ月ほど前から公開されていて、ラジオなどを介しても何度も聴いてきた曲ですが、やはりパワーがあって良い曲です。


日向坂46 『アザトカワイイ』

 

 MVも素晴らしく可愛いです。先日は『アザトカワイイ』のアザトカワイイシーンだけをただただ抜き出しただけの記事を書きましたが(あれも書いている時は楽しかった)、今回は曲そのものについてを。

 

※アザトカワイイシーンだけを 抜き出した記事

sibainu08.hatenablog.com

 

 さて、そんな『アザトカワイイ』でも、日向坂46お得意のキャッチーなサビと真似したくなるような振り付けは健在です。曲のテーマ的には、男の子目線の、気になる女子に対する気持ちみたいなものが描かれています。一度その女子が気になってしまうと、その子の一挙手一投足、動きや表情、そのすべてが可愛く見えてしまうという、なんともその初々しさがキュートな曲です。一般的に「あざとい」は悪いニュアンスで使われていますが、それも「可愛い」に転じてしまうぐらい、「好き」が上回ってしまう。だから「あざとかわいい」。他の人にとっては大したこと無い、あるいはちょっと「わざとらしい」と思ってしまうことでも、困り顔も何気ない仕草までもが、そこに好きが乗ることですべてを肯定的に見えてしまう。そうなのだ。男って本当にちょろいのだ。そんな初恋の初期衝動みたいなモノを感じさせる一曲です。THE アイドルソング。『キュン』や『ドレミソラシド』とテーマは似ていますが、ただ似るだけじゃなくて、それがやっぱり似合うのが日向坂46なのです。

 また、『キュン』や『ドレミソラシド』の時にも感じたことですが、誰にでもある初恋をテーマにして普遍性を保ちつつ、アイドルに対するファン心理みたいなものもテーマに含めているのがニクい(そしてあざとかわいい)ところ。サビの「釣られてしまいました 僕が勝手に恋をしてしまったんです 君のせいじゃない」なんてまさにそうですよね。アイドルを好きになる瞬間、推しができる瞬間というのは、理屈でもなくて初期衝動なんでしょう。他のアイドルではなくなぜその子なのかなんて、自分でも説明できないものです。そして、一度好きになってしまうと、そのアイドルを目で追ってしまう。その子の一挙手一投足すべてが気になってしまうのです。

 そして先日、日向坂46のリハーサル動画「ひなリハ」がアップされましたが、これもそういったテーマを踏襲していると私は勝手に睨んでいます。

 


日向坂46 「ひなリハ」~アザトカワイイ~

 

 この動画は定点カメラで『アザトカワイイ』のフォーメーションや振り付けの全体を観ることができるということで、アップされた瞬間から話題になりました。たしかに、こういった全体動画は貴重だし面白い試みだと思いました(もう何度も観たことやら…)。ですが、やっぱり推しのアイドルちゃんをどうしても目で追ってしまうのです。それは曲のテーマにもあることなんでしょう。

 

『NO WAR in the future 2020』

 今回のアルバム『ひなたざか』には3つのリテイク曲が収録されています。『誰よりも高く跳べ』『NO WAR in the huture』『約束の卵』の三曲はどれもひらがなけやきを代表する曲であり、特にこの「NO WAR〜」と「誰翔べ」なんかはライブでも大盛り上がりで客席とのコール&レスポンスも強い曲ですが、その大切な曲が日向坂となった今現在22人のメンバーによってリテイクされるというのは感慨深いです。先日のサトミツさんのラジオ「佐藤満春の邪魔しないラジオ」で潮紗理菜さんがゲストに来た際、潮さんご自身のチョイスで『NO WAR in the future 2020』がかけられていました。その時のトークで「ライブでは欠かせない曲で、パワーアップできたのも、ライブで盛り上がってくれるおひさまの皆様が一緒に育ててくださったから」「ライブでの客席の雰囲気を思い浮かべながらレコーディングできた」と話されていたのが印象的でした(そのラジオでは潮さんの人柄とか優しさが言葉選び一つ一つに現れてて素敵だったナァ…)。

 そういったメンバーの思い入れも強い曲ですが、それだけでなくて、なんというか「この今の時世に合っているな」とラジオで流れる「NO WAR〜」を聴きながら思いました。いや、この時世だからこそなのかもしれません。ネットを開けば今日も誰かが誰かを叩いていて、何が正義で何が悪なのか分かりづらくなっている時代です(だから私もツイッターを見るのが嫌になったのですが)。綺麗事なのかもしれませんが(こういう時代だからこそ綺麗なものが求められているとも言えます)、少しだけでも他者を許容することができれば、その想像力があれば、世界はずっと生きやすくなるのにな、と思います。

 

NO WAR

愛し合ってるかい?

世界の人と…

やさしくありたいんだ

"好き"になってみよう

 

『この夏をジャムにしよう』

 三期生上村ひなのさんに加え、新三期生の髙橋未来虹さん、森本茉莉さん、山口陽世さんの4人による新曲です(Aタイプ盤に収録)。この曲はただただ可愛い。以前ラジオで上村さんが「どんな曲ですか?」と訊かれた際に「遊園地みたいな曲です!」と話されていましたが、まさにイントロから遊園地。キラキラ輝くパレード感に溢れていて、聴いていてただただ楽しい曲です。三期生による掛け合いも可愛くて、フレッシュで、良いです。タイトルから雰囲気がイメージできる曲だと思いますが、まさにその王道をいくような、でもそれを三期生が歌うからより初々しさとキュートさを感じることができると思います。

 

『ただがむしゃらに』

 Bタイプ盤に収録されている新曲です。ローテンポで、歌謡曲のようなクラシカルさも感じられる曲ですが、だからこその歌詞を聴かせる一曲だと思います。そしてその歌詞がまぁ〜エモい(さっきからエモいしか言ってないですね)。個人的には、ひらがなけやき時代の『車輪が軋むように君が泣く』の雰囲気を感じました(どちらもローテンポで「制服」や「走る」がワードとして歌詞に含まれているからそうなったのかもしれません)。また、どちらの曲も「道」がテーマに含まれているのではないでしょうか。ただし、曲の雰囲気は似ている部分もありますが、込められたメッセージみたいなものはガラリと違ってきます。『車輪が〜』は、学校を卒業して「制服」を脱いだあとに広がる未来をどう進んでいくのか、みたいなことがテーマだと思います。

 その一方で『ただがむしゃらに』はアイドルとしての「制服」を脱ぐまで(つまりアイドルを卒業するまで)何ができるのか・どこまで行けるのか、みたいなところもテーマに含まれているのではないでしょうか。これがなかなかエグいことで、アイドルになるということは、卒業を見据えることでもあるのでしょう。そしてそれはファンにとっても同じで、アイドルを好きになるということはその先の未来にある卒業を受け入れなくてはならないことです。いつなのかは決まっていない、でも必ずやってくる卒業を受け入れて愛していくことの虚しさ。でもやれることは今がむしゃらに走っているあの子を応援することしかできないのです。いや、だからこそ、未来の先に卒業があるからこそ、全力で今を応援できるのかもしれません。

 

『日向坂』

 Aタイプ盤に収録されている一曲。デビューカウントダウンライブで一回、音楽ライブで一回だけ披露された幻の曲が今回のアルバムには収録されています。いやはや、この曲は本当に強い。そしてエモい。エモさの塊です。けやき坂46からやってきた歴史とか、歩みとか、日向坂46というグループの雰囲気とか強みとか想いとか、そういったものを過不足なく表現した4分1秒。先日のゆうパラ(はんにゃ金田と欅坂46と日向坂46のゆうがたパラダイス)で初OAされましたが、私は聴きながらちょっと泣きそうになりました。ゆったりとしたテンポですが、だからこそ歌詞に込められた物語の強さを感じられる一曲ではないでしょうか。またA盤での曲順も『誰よりも高く翔べ 2020』というけやき坂46を代表する曲(のリテイク曲)があってこの『日向坂』があり、そしてラストは日向坂46のエモさ満点の『JOYFUL LOVE』でアルバムが終わるというのも最高です。

 

 そんな素敵アルバム『ひなたざか』についてでした。もちろんここに書いている以外の曲もすべて良いです(全肯定おじさん)。佐々木美玲さん加藤史帆さん齊藤京子さんによるユニット曲『どうして雨だと言ったんだろう?』や金村美玖さん小坂菜緒さんによる『See Through』はいつもの日向坂46の雰囲気とはガラリと違っていて貴重です。アルバムだからこそ入れられた曲ではないでしょうか。『My fans』もそうですね。ラップが入っていたり、上から目線の女性という、なかなか日向坂46の楽曲では珍しい雰囲気で聴いていて楽しいです(『My fans』はちょっとprediaさんチックな雰囲気もありますね)。

 あと、あまり言及しませんでしたが、既存曲もどれも良いです。シングル曲はカップリングも含めてどれも強いです(個人的には『川は流れる』入ってて嬉しい)。こうやってアルバムとなって通しで改めて聴くことで、曲同士のつながりみたいなものも楽しむことができますし。

 

 そんな日向坂46 1stアルバム『ひなたざか』についてのお話でございました。