後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

火星

 8月13日。木曜日。今日も夏です。関東地方では激しい夕立があったそうですが、こちらは終日ピーカン照りでした。暑いです。昨日は農場での作業もあったせいか、ぐっすり眠り昼前ぐらいに起床。といっても朝5時くらいまで起きていたので、睡眠時間は6時間ほどでした。夜型なのかどうかも微妙な所ですが、少なくとも朝型ではないことでしょう。

 研究室に行き、試験問題の作成と、並行して論文の作成を。実験したいなーと思いながらも、なかなか手を付けることができずにいます。8月いっぱいはそんな感じの日々が続くことでしょう。

 論文を作成する際に引用する論文をたくさん読み漁る必要があるのですが、ひとつひとつの論文を全てを読むのはだるいので、だいたいアブストラクト(要約)と結果の図だけをぱーっと読み流しています(重要そうな論文は他の部分も読む必要があるのですが)。その際、DeepLという翻訳ソフトを使うことがあります。これは今年に入った頃から話題になっている翻訳ツールで、ディープランニングを利用したシステムらしいです(詳しくは知らないのですが…)。「Google翻訳よりも自然である」との評判もあるのですが、論文を読むのに関しては個人的には微妙なところで、翻訳ミスもちょくちょく見受けられます。どちらかというとまだGoogle翻訳の方が優秀な印象。もしかしたら生物学系のワードについてはまだデータ不足なだけで、他の分野ではもっと自然なのかもしれませんが。

 たまにヘンテコ誤訳もあって、例えば「Marsupial placenta」というワードがあります。「Marsupial」は「有袋類の」みたいな意味で、カンガルーやオポッサムのような袋のある動物のことです。そして「placenta」はお母さんの胎盤のことを指します。なので「有袋類(有袋動物)の胎盤」というのが正しい訳なのですが、これをDeepLで翻訳するとなぜか「火星人の胎盤」と訳されてしまうのです。びっくりですね。火星に生命がいるのかうんぬんの話どころか、その繁殖・出産方法まで既にわかっていることになります(論文としてリリースされているわけだから)。

 胎盤があるというのは哺乳類の大きな特徴の1つです(といいつつ、実は哺乳類だけでなくサメにも胎盤はあります)。ということは、火星人も有性生殖の可能性が高いことになるでしょう。そして胎盤というのはお母さんが生まれてくる前の赤ちゃんの発育をサポートする臓器ですので、火星人も同じくある程度育つまで赤ちゃんがお腹の中にいるということです。一度に生む子どもの数はおそらく少数であることでしょう。また、胎盤があるということは、骨盤なども発達している可能性があります。あ、でも火星は地球よりも重力が小さいわけだから、地球人としてイメージしているほどの骨の強度は必要ないのかもしれませんね。あと、胎盤があるということは母体と胎児の間での物質のやりとりが行われているということですが、火星のような環境の場合、どんな物質のやり取りになるのでしょうかね。酸素や二酸化炭素の交換も、火星の場合だと…?人間のようにホルモン分泌の機能もあるの…?哺乳動物は出産後に出てきた胎盤を食べる習性があるけど火星人の場合は…?と気になってなりません。あ、そうかこの手元の論文を読めば良いのか…というところまで考えて「いやただのクソ誤訳だったわなんだこの時間は!!!」と一人ツッコミを入れた今日このごろでした。

 ほんのり、アンディ・ウィアーの『火星の人』が読みたくなりましたとさ。