後ろ向きには最適の日々

雑駁なあれこれ

それは信じられる確かなモノ(日向坂46ドキュメンタリー映画『3年目のデビュー』の感想のようなもの)

 つい先日、日向坂46のドキュメンタリー映画『3年目のデビュー』を観に行った。平日にも関わらずたまたま公開初日にいけるタイミングがあり、地方にもかかわらずたまたま一番近所の映画館で公開されるという、奇跡のようなタイミングのため観に行くことができたのだ。

 映画の内容としては、タイトルにもあるように、もともとけやき坂46ひらがなけやき)としてデビューしたグループが3年間の活動を経て、改名して日向坂46として新たにデビューして…という時代を追ったドキュメンタリー映画だ。けやき坂46の頃のエピソードと日向坂46に改名してからのエピソードの両方が織り交ぜられた作品なのだが(どちらかというと日向坂になってからの映像が多かったかのかな?)、とにかく日向坂に少しでも興味のある人は観てくれ!としか言いようがないぐらい素晴らしかった。いやほんと、よかった…意気揚々と映画館に行った私は目頭を真っ赤にして帰ってきたものだ。胸にグッとくるシーンはたくさんあって、でも日向坂46らしい明るくて笑えるシーンもたくさんあって、感情のアップダウンの連続だった。でも最後にはなんだか温かいものに満たされたような、そんな気持ちで観終わることのできる作品だった。

 「ドキュメンタリー」と名がつくと、いわゆる感動路線にいきがちなものである。あの大舞台の裏ではこんな努力があったとか、あの時の何々のおかげで〜、とか。別にそれを否定するつもりは一切ない(実際に自分にとっても感動する場面がいくつもあったわけだし)。人の感情を動かすことが商品としてリリースされることの目的であり価値であるとも言える。そもそも、人間ってのは物語に弱い生き物なんだろう。物語に弱いからこそ、そのストーリーや登場人物に共感したり、励みになったり、また感動することができるのだ。もちろんこの映画も、そういった面はある。でも、それだけに留まらない何かを感じたのは、この作品が日向坂46のことがめちゃくちゃ好きで応援したい人たちによって作られていて、そして日向坂46をめちゃくちゃ好きで応援している自分が観たからなんだろう。実に作り手からの愛を感じる作品であった。そして、そこには日向坂46というアイドルグループのリアルな姿が鮮明に映し出されている。その映し出されるグループとしての、アイドルとしての生き様に魅了されるのだ。

 今人気があって順風満帆に思われるグループでも、決してそれだけじゃなくて、色んな出来事があるものだ(ポジティブなこともネガティブなことも)。改名前のエピソードもそうだし、改名して「さぁこれからデビューだ!」となってからも、メンバーの休業や卒業、あるいは目を背けたくなるようなしんどい事だって沢山経験されてきたことだろう。でも、それを表には決して出さず笑顔を絶やさずファンの前に立ち続ける。改めてアイドルってのは凄まじい存在だな、と圧倒されるばかりだ。そしてそんなしんどい場面になった時、なによりも一緒にいる仲間がいるからこそ乗り越えられてきた、そんなアイドルグループなんだろうな、日向坂46ってのは。それをひしひしと感じた。

 嬉しいことも、楽しいことも、苦しいことも、辛いことも、悔しいことも、涙もハッピーも、すべてを共有し、一緒に背負って、みんなで前を向き走り続ける。その姿はひたすらにカッコよくて、しなやかで、美しい(この感情を「尊い」と呼ぶのかもしれない)。そしてその姿はそのまま私たちの生きるパワーになり、また応援する理由になり得るのだ。「頑張っている人たちがいるから自分も頑張れる」ってのは綺麗事かもしれないし、綺麗事ばかりじゃ生きづらくなってしまった世の中かもしれないけれど、それでもやっぱり綺麗で確かなモノってのは存在してくれるだけでとんでもないエネルギーになるのだ。そんなことを感じた作品だった。

 

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 なので、何度も書くけど、少しでも関心がある人は観て欲しいなと思う。別に日向坂46のことをよく知らなくても、最近知ったばかりという人でも。何かを好きになろうとした時、その対象について誕生からを追ってなくてはならないことなんてないのだから(その歴でマウントを取ろうとする人もいるけれど)。初対面の人と出会った時でも、まず現在を知ってから歴史を知るってのはありふれた自然な流れなのだから。